FROZEN CAKE BARは、マジメに楽しく11年!
おもちゃ箱をひっくり返したような楽しさがありつつ、ヘヴィでミクスチャーなバンド、フローズン・ケーキ・バー。彼らがニュー・アルバム『LIFE IS GAME』に続き、7月8日にニュー・シングル「dear my self」を発表する。WeROCK 083では、そんな彼らのインタヴューをお届けしているが、ここで、その最新シングルの追加取材とともに、改めて彼らの声を抜粋してお届けしよう!
——今回のアルバム『LIFE IS GAME』は、これまでのフローズンと違って、かなりマジメで王道な路線だよね? もちろんフローズンらしい、くだけた部分もあるんだけど、それさえもマジメに聴こえるというか。1曲目の「ギルメンジパング」のせつなさなんて、これまでではありえないと思うんだ。
SSBMV:あの曲は、まさにコロナだから生まれた曲なんです。ライヴ・ハウスに来ても、みんなが声を出せないじゃないですか。そんな中でも、今、支えてくれるギルメン(ファン)さんの声をCDに残したかったんです。それで、ギルメンひとりひとりからデータで声をもらって、ミックスしたんです。自分らのわかる範囲で、“この方は、いつもライヴの時、この場所で観てくれている”と考えて、そこにパンを振ってね。みんなの声とコール&レスポンスして、歌詞もギルメンさんが仕上げてくれたものに、うちらが乗っけてね。
くりざべす:最初に曲を聴いた時、これまでと違うとは感じましたね。歳をとったから、こういう感じの曲がいっぱい出てきたのかな~とか(笑)。「ギルメンジパング」は、これまでの10年を支えてくれたみんなへの感謝の気持ちと、“これからもよろしくね”ということを込めてできた曲なんです。歳を重ねたからこそ生まれた曲なのかなと思います。この曲は、私も気持ちが入りすぎて、ライヴ中に泣いて歌えなかったことが何回もあるんです。
jun-jun:僕はフローズンに入って4~5年になるんですけど、ここまでの流れを見ているので、この変化は必然的だなって思うんです。「飛燕」という曲も、ものすごく歌詞がよくて、これは「ギルメンジパング」からのつながりを持ってるんです。11年目から新たな一歩を踏み出していく、という未来のある歌だなって思って感動しました。
——「飛燕」は和楽器バンドにも通じる雰囲気を感じるけど、これは誰の曲?
SSBMV:阿部五段です。
——は(笑)?
SSBMV:謎の三味線を弾き尺八も吹くという、架空の7人目のメンバーです。
——そういうふざけた部分はフローズンらしいのに、この曲を聴いてもじつにマジメで王道なんだよね。
SSBMV:曲を聴いてもらえればわかってもらえるんですよ(笑)。
jun-jun:曲数的にも、過去にないぐらい多く収録しているんですね。そこも、これまでの軌跡という部分が、すごくしっかりと詰まってると思うんです。
——アルバムが、これだけ王道な路線になると、歌にかかる比重も大きかったのでは?
くりざべす:フローズン~のレコーディングって、とくに練習期間みたいなものがないので、今までやってきたことというのが試されるんです。SSBMVとは、もう10年一緒にやってきてるから、通じる部分や相手が望んでることがわかるので、そこまで困ったことはないですね。
——ぜったい成長してるよね?
jun-jun:すごい変わってきてる。歌の表情とか表現力が、圧倒的に変わりました。
SSBMV:今まではカワイイ歌い方だったけど、「DOMINATION」なんかではロックな感じの歌い方をしてる。
jun-jun:「ParkA」とかリレコーディングしてるんですけど、前のヴァージョンとは圧倒的な差が出てますよ。歌がぜんぜん違う。
SSBMV:歌もそうだし、ミックスや編曲にしても、jun-junやHirokiの影響は大きいんですよ。「Give ME」「カウンター」はHirokiが仕上げてくれたんです。曲を作るのもうまい。
jun-jun:メロディのセンスもいいから、ヴォーカルに合うメロを付けてくれる。
くりざべす:たしかに聴き比べるとぜんぜん違うんですけど、自分の中ではつねに“あ~したい、こうしたい”が更新されるので、いつまでたっても満足いっていない感じなんです。自分を褒めるとするならば、それが成長につながってるのかなと思います。
——バンドとしても、かなり進化してるよね?
SSBMV:11年もやってると、自分が歳を取ると同じく音もつねに進化してるじゃないですか。そこで古臭い音だと思われないように作るのが、すごく難しいんです。そういうことを考えながら作ったのが、「DOMINATION」ですね。今の時代に合った曲にしました。
jun-jun:「DOMINATION」は、これまでのフローズンと少し違う新しい一面の曲だなと思いました。でも、“どこかフローズンなんだよな”と思える部分があったりとか、他のメッセージ色が強い曲とは相反するものがあるんだけど、歌詞をしっかり聴いてもらうと伝わるものがあるという奥が深い曲ですね。
——もはや違うバンドと化してるよね?
くりざべす:「DOMINATION」は、“つねに時代に合わせて進化だったり成長してるんだよ”って伝えられる曲ですよね。
SSBMV:10年をへて作ったアルバムじゃないですか? だからなのか、心があるんです。10年のまとめじゃなくて、自分らで聴いて10年後もみないといけない作品だなって思うんですよ。いろんな決意を持ったアルバムですね。
――最新シングルとなる「dear my self」は、どういう作品?
SSBMV:アルバムの続編です。これまでの楽曲では、メンバー、ギルメンでワーワー騒ぎ楽しむ曲が多かったんですが、去年からストレートな曲が続いてるのってギルメンの本気で音楽シーンを守ろうとしている表情が強く見えて生まれているからかもしれません。今回の新曲「dear my self」を武器に、7月8日から13日連続ツアーが始まるのですが、さらに新しい音楽好きの仲間と出逢えることが何より楽しみですね。じつは、この「dear my self」のMVを、よりたくさんの仲間と作りあげよう、さらに目標を持てるようにとクラウド・ファンディングにも挑戦中です。興味を持ってくれた方は、ぜひ参加頂ければうれしいです!
jun-jun:聴く人それぞれが自分自身の“過去、今、未来”を感じながら聴いてもらえるんじゃないかと思うんですね。なので、アルバムからの流れを感じながら楽しんでもらえる作品になるんじゃないかと思います。
くりざべす:タイトルにもなっている「dear my self」は、抽象的な表現よりもメンバーやリスナーそれぞれの過去、未来の自分へ向けた真っ直ぐなメッセージを伝える作品になっていると思います。SSBMVが言った通り、お客様が本気で音楽シーンを守ろうとしている姿というのを私も前回の“LIFE IS A GAME”ツアーですごく感じたんです。コロナ禍ということもあったのですが、純粋にFCBを愛してくれるお客様がそういう思いでライヴに足を運んでくれているなら、私達もストレートに伝えなきゃなって。“またここに来てください!”っていう真っ直ぐな目を今でも覚えています。“LIFE IS A GAME”ツアーで関わったすべての方はもちろん、それに感化された方達にも“あの日の約束をまた実現しに来たよ”っていう想いを込めてこの作品を作りました。
——今のFCBは、どんなロック・ファンにアピールしたいと思ってるの?
SSBMV:ジャンルが問題ではなくて、ただ音楽が好きで、お祭りが好きな方はライヴ必見です
jun-jun : FCBの楽曲自体がジャンルっていう枠に囚われてない部分が多々あると思うんですけど、懐かしさを感じたい人にも新しさを求める人にもぜひ聴いてもらいたいです。
くりざべす:FCBをご存知なかった方はもちろんなのですが、過去に対バンで見たことはあるぐらいの方へ、とくにアピールしたいですね。FCBってお客様との一体感に定評があるのですが、時に閉鎖的に見えてしまって興味はあるけど入り辛いという雰囲気を与えてしまうこともあるんです。実際に輪に加わってしまえば新感覚を味わえるのですが、やっぱり新しいものに加わるのって少し勇気がいりますよね。私は紅一点、そしてセンターということもあり個人的な活動に力を入れ、門戸を広げるように心がけています。見た目はハード。でも熱い心を持った人間が集まっている組織。それがFCBですので、人間性の部分に興味を持ち、私達を愛してもらいたいなと思っています。