山下昌良 × Ampeg最新アンプ
山下昌良愛用のベース・アンプといえば、アンペグのSVT!
そのアンペグのSVTの誕生50周年を記念し、スペシャル・モデル、ヘリテイジ50周年記念モデルのSVTが発表された。
オール・チューブ、2チャンネル仕様の特別モデルで、さらにはモダンな機能も併せ持った“21世紀のSVT”となっている。この最新のSVTを、なんと、日本を代表するSVT愛好家の山下昌良が試奏してくれたぞ!
※WeROCK 079の掲載記事より。
■このモデルを弾いたら、
これまで使ってたアンペグがなんだったって感じ(笑)
——もともとヴィンテージのアンペグを愛用し続けていますが、このモデルはどういう印象ですか?
山下:音を出してビックリした。“こんな音、よっぽど好きなヤツがおらんと作れない”というぐらい、いい音を出してくれる。
これまで、レコーディングでは69年のモデル、ライヴではSVT-VRを使っていた。このVRが出るまでは、アンペグもラックに入れるタイプ……SVT Ⅱとかの路線になっていたでしょ。僕も、SVT Ⅱを使っていたんだけど、やっぱり“ヴィンテージ寄りのを使いたいな”って思っていたら、VRが出てくれて。それで音を出してみたら、80年代に僕がアメリカを回っていた時に使っていた70年代のアンペグの音をしていたのね。それで、ここ最近は、ずっとVRを使い続けてきているんだ。
——そんな時に、今回のモデル、Heritage 50th Anniversary SVTが来たわけですね。
山下:僕の使っている2台で比べてみると、レコーディングで使っているオールドのモデル(69年モデル)と変わらない音を出してくれたんだよ。これを弾いたら、これまで使っていたVRがなんやったんだって感じ(笑)。もともと、オールドのモデルを使いたいんだけど、ライヴで使うには壊れたら困るし、ということでVRを愛用していたんだけど、もう、これでいいじゃないかって。
——えっ!? そんなによかったんですか!?
山下:よかった。これまで、なんやったかと。VRも充分よかったんだよ。それを上回る今回のモデルが、いかに研究して作られたかということなんだよ。だって、オールドと同じ音をしているんだもん。
弾くまでは、それほど期待してなかったの。VRとたいして変わらない音だろう、あるいはもっとよくないほうにいってるんだろうってね。でも、よかった。じっさいに、僕の持っているアンペグと弾き比べたもん。前に76年のSVTをレンタルで借りたことあるんだけど、それもすごくいい音していてね。今回のモデルは、その音にも似ていると思った。いかに、今回のヘリテイジがいい音をしているか、と。70年の、あのSVTそのままの音がする。
——今回のヘリテイジは、2チャンネル仕様で、1969年の“ブルーライン”(チャンネル1)と1970年代中盤のMagnavox時代の回路(チャンネル2)をひとつに収めたモデルだそうです。
山下:好きなのは、チャンネル1。69年のブルーラインのほうだね。
——チャンネルによって、どのような違いを感じました?
山下:チャンネル2のほうが、多様な音を出せるなと思った。上のスイッチだけで、いろんな音が作れてしまう。対してチャンネル1は、オールド・アンペグの音やね。70年代初期の音がする。
▲山下いわく、上の3つのスイッチが音作りのポイントとのこと。
たしかに、トーンが激変してくれる
——ジャンプという機能を使えば、その2チャンネルを混ぜ合わせてハイブリットで使えるのもおもしろいですね。
山下:僕は左のチャンネルが好きなんで、シンプルにいきたいけど、こういう使い方もできるなら、サウンドの好みによってバランスを試してみるのはおもしろいかなと思うね。
▲このようにインプットをリンクさせることで(ジャンプ機能)、2つのチャンネルのサウンドを融合することが可能だ
——とくに印象的だった部分は?
山下:アメリカだと、まだまだオールドのアンペグが存在すると思うんだ。それらを聴き比べて、“もっといける、もっといける”という感じで近い音を作り出したんちゃうかな。このモデルを弾いたあとで、VRには戻れないよ。
——そこまで!?
山下:こういうアナログなアンプで、昔より進化しているなんて珍しいよね。ひさびさにキターって思ったし、とうぶん、これを使うんじゃないかな。それにね、現代のモデルらしく、リアにファンが付いているでしょ。僕が持っているオールドのはファンも付いてないし、壊れたら部品もないだろうし、耐久性も考えるとライヴでは心配で使えない。だったら、このモデルのほうが使い勝手がいい。
もちろん、オールドのSVTならではのよさがあるから、レコーディングでは使い続けるけど、ホント、ほとんど変わらないよ。だから、VRを持っている人にとってはショックかもしれない。俺もショックやったし(笑)。
——今回、セッティングしてくれたオススメのコントロール類も、だいたいフラットでこれまでの使用していたモデルと一緒ですね。
山下:同じ。これまでのアンペグのと同じセッティングで試さないとね。アンペグは、充分にローもハイも出るから、あまりEQでイジる部分がないんだよ。他のメーカーのアンプだと、もっと多彩に音作りをしなきゃだけど、アンペグはいい意味で直球だから、誰でも簡単に音作りができる。
——しかし、ここまで気に入っているとは、逆にビックリでした。
山下:これまでVRを使っていて、それでVRを購入してくれる俺のファンの方もいてね。そんな方がこの記事を見たらショックを受けると思うけど、俺がショックを受けているんだから(笑)。アンペグ、やりおったな〜という感じだよ。ホンマに好きな人がメーカーにいたら、ここまでのアンプができるんだなって思ったよ。
クラシックというモデルが出て、そこからVRが出た時もビックリしたんだけど、その時と匹敵するぐらい驚いた。アンペグ好きには、間違いなくオススメできるモデル。アンペグ好きな人には、これですよ。いろんなキャビを使っても、基本、アンペグの音がしてくれると思うしね。
■山下直伝のセッティング!
▲インプットする位置でチャンネルと、ブライトかノーマルかのトーンを選択できる。
山下のいちばんのお気に入りは、チャンネル1のノーマル・インプット。セッティングは、下の写真のとおりだ
▲各チャンネルごとに、山下ならではのサウンドを作ってもらった。
写真上がチャンネル1、下がチャンネル2。
EQは、ほぼフラットでのセッティングになっているが、ポイントはやはり上のスイッチとのことだ
アンペグ
AMPEG HERITAGE 50TH ANNIVERSARY SVT
¥オープン(市場想定価格 ¥355,000+税)
【スペック】
●プリアンプ真空管: Premium JJ (5×12AX7)、ドライヴァー真空管: Premium JJ(1×12AX7、 2×12AU7)
●パワー・アンプ真空管: Ampeg Super Valve(6×6550)
●出力:300w
●コントロール:チャンネル 1(オリジナル1969 “Blue Line” SVTを再現したヴォイシング)=ヴォリューム、トレブル、ミドル、ベース、スイッチ(ウルトラ・ハイ、220Hz/800Hz/3kHz、ウルトラ・ロー)、チャンネル2(70年代中期のMagnavox時代のSVTを再現したヴォイシング)=ヴォリューム、トレブル、ベース、スイッチ(ウルトラ・ハイ、ウルトラ・ロー)
●入出力端子:インプット(チャンネル1、同ブライト、チャンネル2、同ブライト)、スレーヴ・アウトプット、パワー・アンプ・インプット、プリアンプ・アウトプット、トランスフォーマー・バランスド・アウトプット、スピーカー・アウトプット(1/4インチ・フォーン・アウトプット×2、スピコン・アウトプット×1)
●寸法 : 292(高さ)×610(幅)×324(奥行き)mm
●重量 : 38.6kg
■製品の詳細■
https://ampeg.jp/products/heritage/svt-50thAnniversary/
◎山下昌良:もはや、何の説明もういらないであろうラウドネスのベーシスト。本記事でも触れているように、レコーディング、ライヴとアンペグを愛用し、極太のサウンドでグルーヴを生み出している。ラウドネスは、9月23日にアルバム『SOLDIER OF FORTUNE』の30周年記念盤を発表し、来年2021年には全国8公演のツアーが決まっている。
『SOLDIER OF FORTUNE 30th ANNIVERSARY LIMITED EDITION』(ラウドネス)
ラウドネス 公式サイト
http://www.loudnessjp.com/