メタルを録る!!〜SYU×Two notes Torpedo Captor X
宅録と言えども、愛用のアンプ・ヘッドを使いたいというギタリストも多いだろう。そこで活躍するのがロードボックスでありキャビネット・シミュレーターだ。
キャプターXは、それをひとつにしてしまった機材。ふだんからトーピドを愛用しているSYU(ガルネリウス)に登場してもらい、最新モデルを試奏してもらおう!
※WeROCK 078の掲載記事より。
Two notes Torpedo Captor X
¥オープン
【スペック】
●インプット(スピーカー入力端子):6.35mm(1/4″)アンバランス(TS)。IN LEVELスイッチで入力感度を設定(HIGH:0 dB/LOW:−15 dB)
●アウトプット(スピーカー出力端子):6.35mm(1/4″)アンバランス(TS)
●ロードボックス・インピーダンス:8Ω
●左/右出力端子:XLRバランス
●最大出力レベル:15 dBu @ 600Ω
●ヘッドフォンン端子:6.35mm(1/4″)ステレオ(TRS)
●MIDI入力端子:1/8″バランスTRS、1/8″ to MIDI変換ケーブル付属
●USB端子:Micro USB Type B、Micro USB Type B to USB Type A変換ケーブル付属
●ADC/DAC:サンプリング周波数:96 kHz、解像度:24ビット
●最小レイテンシー:2.2 ms(スピーカー入力 to 左/右出力)
●電源:AC100〜240v、出力:DC12v @ 1A
●外形寸法:128(幅)×175(奥行き)×64(高さ)mm
●重量:1.3kg
■多種にわたるシミュレート機能
■今回の接続方法:アンプ・ヘッド→キャプターX→オーディオ・インターフェイス→PC
——これまでにも、トーピドのシミュレーターは、使っていたんだよね?
SYU:トーピドについては、最初トーピド・ライヴというものを使ってレコーディングしていました。その時はシングル出しで、モノ録音を2本録るというような感じで作業していましたね。サウンドは、その時からすでにお気に入りで、「Brit VintC」モデリングを愛用してました。
——今回のキャプターXだけど、これまでのモデルとの違いはどうだった?
SYU:キャプターXについては、本当にシンプルに、使いやすい! というのが第一印象ですね。アッテネーターの機能もあるというか、そちらもメインだと思うのでライヴで使えばアンプの音量もコントロールしやすくなると思います。その他の機能では、デュアル・モノというのとツイン・トラッカーというのがとても便利なんですよ。それに、本体のヴォイシングのツマミが秀逸で、めちゃミッドをコントロールできます。これは、僕が最近、作ってる自作エフェクターにも追加したいツマミですね(笑)。
——本体のコントローラーが、すごくシンプルだよね?
SYU:これだけでも、すごくいいですよ。ヴォイシングは全体のトーンを調整するツマミ、スペースはリバーブというか部屋鳴りを足せるツマミですね。プリセットは、文字通りプリセットの切り替えです。とくに、ヴォイシングはセンター・クリックが付いているので、便利です。
▲本体にも手軽にトーンを調整できるヴォイシング・ツマミを装備している
——PCやスマホ用の専用アプリに関しては、どうだった?SYU:ノイズゲート、EQ、エンハンサー、マイキング、ツイン・トラッカー、デュアル・モノと、けっこう細かい調整が可能なんですけど、どれも直感的に操作できるんですよ。僕は、PCに接続してトーピド・リモートというソフトでエディットしていきました。注目はツイン・トラッカーというもので、これ、ギターのダブル・トラッキングを自動で作ってくれるんですね。じつは、昨年1月にリリースしたソロ・アルバム『VORVADOS』でも、トーピドのスタジオを使って、ギター1本でダブル・トラック的な効果を狙ってレコーディングしたんですね。その方法が、キャプターXだと狙えますよね。ダブルのバッキング・ギターの広がり感が一度で出せるのはとても時間の短縮になります。
——デュアル・モノというのは、どういう使い方ができるのかな?
SYU:1本のギターをステレオ排出できるという機能ですね。普通は同じ音色のギターが出力されますが、キャプターXではそのまま変更せずに両トラックの音量を変えられたり異なるEQやリバーブも設定できるので、録音にとてもヴァリエーションが与えられると思いますね。
——それでは、ここで、搭載されているスピーカー・シミュレーターから気になるモデルを試奏してもらいましょう。まずは、マーシャル:1965Aをモデリングした「Brit 650」から。
SYU:かたまり感のあるサウンドですね。タイトにレスポンスがあるので弾きやすいです。
——「Brit VintC」は、マーシャルのスラッシュ・シグネイチャーをシミュレートした音だね。
SYU:僕が使うなら、これがメインのキャビになりますね。レンジが広くて扱いやすいトーンになっていて、プリアンプで使ってるシナジーにすごく合うし、前に使っていたマーシャル:JMP-1の時も、トーピド・スタジオでこのモデリングを使ってました。
——メサ・ブギーのレクチファイアーをシミュレートした「Calif StdC」はどうでしょう!?
SYU:このキャビネットは、ハイがしっかり再生されてくれるので、張り付き感のあるサウンドを録音しやすいですね。「Eddie」というピーヴィー:5150モデリングは、絵の感じの音が出ます(笑)。コンボの5150風の、少しツブの細かい歪みですね。そしてローの圧も出しやすい です。
——「Kerozen」というディーゼルのモデリングは、どうだった?
SYU:ディーゼルですね〜、ひじょうに(笑)。ディーゼルのヘッドを使っていた時を思い出します。ローが出ながらもタイトにハイが出てくれて、ロー・ミッドもふくよかに邪魔にならず出せるんですよ。ボグナーの「XTCab」も試してみましたが、ハイが強く出てくれるので、アンプ側でがっつりとローとミッドの元気な音を出していれば、とてもバランスが取れるトーンが作れますね。
——マイク・モデリングのお気に入りは?
SYU:前のモデルまでは「Cnd 87」をメインで使っていましたが、今ならハリを与える理由で王道の「Dyn 57」をメインにすることが多いですね。少し離した2本目のマイクのほうは「Knightfall」がとてもいいバランスでローミッドやローを追加してくれるので好きです。
——さて、今回のキャプターX、ズバリ、使える音を出してくれる?
SYU:僕が使うとすると、やはり「BritVintC」がいいなと思っております。追加の機能も秀逸なので、より好みの音に迫ることが簡単にできるかと思いますね。レコーディングにおいても問題なく使えると思いますし、今からさらに音作りを煮詰めてみますね(笑)。
▲電源を入れると、内部が青白く光る。
本体に付いているコントロール類はシンプルだ
▲大きさは、本誌よりも小さい(厚みはあるけど)!
ロードボックスで、このサイズは助かります
▲こちらはスマホ・アプリの画面。
本体とBluetooth接続することでエディット可能
▲付属のUSBケーブルを使ってPCと接続することで、アプリ(トーピド・リモート)を使ってエディットできる。
下で紹介しているSYUセッティングは、すべてその画面だ
▲アッテネーターとして使用する際に便利な3段階の音量調整スイッチ
■SYUのトーンを生み出すセッティングを公開!
▲“アンプで好きなサウンドを作った後に、ツイン・トラッカーを使いステレオ感をプラスした音。そのまま録音トラックに反映されていくので、バッチリ2本録った感じになります”(SYU)
▲こちらは、ノイズ・ゲートも足したもの。“レコーディングでの歪みギターはノイズが付きものですが、この機能でそのノイズをカットできます。よりクリーンなサウンドで録音できます!”(SYU)
▲“ディーゼル・キャビネットのモデリングであるKerozenというのをセレクトしてみました。マイクは57と87をセレクトし、EQは他とほぼ同じです”(SYU)
▲“これはとても汎用性の高いキャビだなあと感じております。音の特性がマイルドなので、かなりたくさんのヘッドに合うサウンドかと思っております!”(SYU)
■Torpedo Captor Xが通販で購入可能■
○イケベ楽器
https://www.ikebe-gakki.com/ec/pro/disp/1/679611
○ミュージックランドKEY
https://www.musicland.co.jp/fs/musiclandkey/twonotes-tncapx
■製品の詳細■
http://www.electroharmonix.co.jp/twonotes/torpedo-captor-x.html
◎SYU:ガルネリウスのギタリスト。もはや説明不要のギター・ヒーローであり、高度なテクニックを駆使した速弾きから泣きのフレーズ、タッピングなど、日本のハード・ロック/ヘヴィ・メタルを代表するギタリストのひとりだ。ガルネリウスは、昨年10月にアルバム『INTO THE PURGATORY』をリリース!! 新たなライヴDVD/BDも10月7日に発売!
最新ライヴDVD/BD:『FALLING INTO THE FLAMES OF PURGATORY』(ガルネリウス)
ガルネリウス 公式サイト
https://www.galneryus.jp/