MASAKIが最新アンプを弾き比べ!

ギャリエン・クルーガーから新シリーズのベース・アンプが登場した。
プリ部に真空管を搭載したハイブリッド・タイプのフュージョンSシリーズと、名機の800RBを継承したソリッドステート・タイプのレガシー・シリーズだ。ともに、多数のプロを魅了してきたサウンドを持ちつつ、小型かつ軽量化を実現、さらに使いやすさも向上しているという。この最新のシリーズを、MASAKIにチェックしてもらった!
※WeROCK 077の掲載記事より。

WeROCK TWITTERではMASAKIが試奏したショート動画を公開しています。
Fusion 800S→
https://twitter.com/werock_magazine/status/1273836973015175169
Legacy 800→
https://twitter.com/werock_magazine/status/1273837856725667840

 

プリ部に真空管を搭載したハイブリッド・アンプ

Fusion 800S
¥オープン

出力:360w@8Ω or 625w@4Ω
●真空管:12AX7×3(プリ部)
●コントロール:トリム/ヴォイス、ノーマル/オン、オーバードライブ/オン、エッジ/カット、レベル/ボディ、ベース/バンプ、ロー・ミッド/コントゥアー、ハイ・ミッド/ハイ・カット、トレブル/プレゼンス、マスター・ミュート
●イコライザー:[ベース]+/-10dB@60Hz、[ロー・ミッド]+6dB/-10dB@250Hz、[ハイ・ミッド]+6dB/-10dB@1kHz、[トレブル]+/-14dB@7kHz ●ヴォイシング・フィルター:[コントゥアー]+2dB@50Hz/-10dB@500Hz/+3dB@7kHz ●スイッチ(リア・パネル):パワー、Pin 1(リフト/グラウンド)、ソース(プリ/ポスト)、キャビネット・インピーダンス
●入出力端子:ACインプット、ダイレクト・アウト、ヘッドフォン・アウト、AUXイン、チューナー・アウト、フットスイッチ・イン、リターン、センド、スピーカー・アウト(スピコン×2)
●外形寸法:291(幅)×61(高さ)×271(奥行き)mm
●重量:約2.6kg
●付属品:フットスイッチ、フットスイッチ・ケーブル
※このFusion 800Sの他に、Fusion 1200S(出力 1チャンネル:360w@8Ω、2チャンネル:720w@8Ω or 1300w@4Ω)とFusion 500S(出力300w@8Ω or 340w@4Ω)もラインナップしている。

名機800RBを継承した伝統のサウンドを現代に!

Legacy 800
¥オープン

出力:400w@8Ω or 600w@4Ω
●コントロール:トリム、ドライヴ、レベル、ベース、ロー・ミッド、ハイ・ミッド、トレブル、マスター、オーバードライブ・スイッチ、エッジ、バンプ・スイッチ、コントゥアー・スイッチ、プレゼンス・スイッチ、ミュート・スイッチ
●イコライザー:[ベース]+/-10dB@60Hz、[ロー・ミッド]+6dB/-10dB@250Hz、[ハイ・ミッド]+6dB/-10dB@1kHz、[トレブル]+/-14dB@7kHz ●ヴォイシング・フィルター:[コントゥアー]+2dB@50Hz/-10dB@500Hz/+3dB@7kHz
●スイッチ(リア・パネル):パワー、Pin 1(リフト/グラウンド)、ソース(プリ/ポスト)、キャビネット・インピーダンス
●入出力端子:ACインプット、ダイレクト・アウト、ヘッドフォン・アウト、AUXイン、チューナー・アウト、フットスイッチ・イン、リターン、センド、スピーカー・アウト(スピコン×2)
●外形寸法:291(幅)×61(高さ)×271(奥行き)mm
●重量:約2.6kg
●付属品:フットスイッチ、フットスイッチ・ケーブル
※このLegacy 800の他に、Legacy 1200(780w@8Ω or 990w@4Ω)とLegacy 500(出力240w@8Ω or 340w@4Ω)もラインナップしている。

——まず、MASAKIさんが考える“ギャリエン・クルーガーらしさ”とは?MASAKI:金属感のある硬めのサウンドですね。イコール、大音量の中でもヌケがいいんですよ。
——そして今回は、新製品のFusion 800SとLegacy 800という2台のベース・アンプ・ヘッドを試してもらいました。
MASAKI:Fusionの第一印象は“継往開来”でしたね。これまでのギャリエンらしさを受け継ぎつつ、未来を感じることができましたね。
——では、Legacy 800の第一印象は?
MASAKI:“伝統継承”。僕の思うギャリエンらしいサウンドをしっかりと受け継いでいますよ。
——どちらもギャリエンらしいと。
MASAKI:そうですね。どちらのモデルもコントロールのキャラクターや効き方は基本的には同じだと感じました。トータルのサウンド・キャラクターは近いです。どちらも、ヌケのいい“ギャリエン・サウンド”ですよ。
——逆に違いはありますか?
MASAKI:Fusionはプリ部が真空管というハイブリッド・タイプなので、低音に暖かみがあって太さもありますね。
——MASAKIさんがメインで使われているFusion 550とサウンドは近いですか?
MASAKI:すごい近いですよ。しかも、今回、コンパクトになったことで、リハーサル・スタジオや本番などにも持ち歩きしやすい。どこでも自分の音作りができると思います。
——歪みについてはどうですか?
MASAKI:ノーマルとオーバードライブという2チャンネル仕様で、歪み自体はそんなに激しいタイプではないですが、しっかりと歪んでくれる。オーバードライブ的だと思います。
——いっぽうのLegacy 800ですが、資料によるとギャリエンの名機、800RBを継承したキャラクターらしいです。
MASAKI:なるほど。たしかに、80年代のメタル・ベース・サウンドですね。でも、それだけじゃない。コントロールの効きがいいので、どんなジャンルにも対応できると思います。ソリッドステートならではの反応のよさもあって、速いフレーズにもついてきますね。
——Legacyの歪みについては?
MASAKI:Fusionと近いです。こちらもそんなに激しく歪まない、オーバードライブ的なニュアンスですね。
——全体的な音作りのポイントについても教えてください。
MASAKI:FusionもLegacyもそうですが、ロー・ミッド、ハイ・ミッドでの音作りが充実しているんですよ。ギャリエンのよさですよね。僕の場合は、まずは各イコライザーをセンターにしてから、ロー・ミッドとハイ・ミッドを調整します。センターから削るということはなく、少しずつ上げながら攻めるという感じです。あと、コントゥアーの効かせ方でしょうね。
——FusionとLegacyで、コントゥアーのコントロールの形状が違うんですよね。
MASAKI:そうですね。Fusionの場合は、ロー・ミッドのツマミを押すとLEDが白から青に変わって、コントゥアーがオンになる。Legacyはスイッチでコントゥアーのオン/オフを切り替える。で、どちらもコントゥアーをオンにすると低域と高域が持ち上がって、中域がカットされて、また違ったキャラクターになるんです。試してほしいですね。あと、2モデルともバンプというコントロールが付いていて、これを入れると低域がブーストされます。
——今回は、それぞれのシリーズの中で出力的にはちょうど真ん中のモデルを弾いてもらいましたが、どのぐらいの規模のライヴ・ハウスで使えそうですか?
MASAKI:この出力なら、どんな大会場でも大丈夫でしょう。だから小さいライヴ・ハウスでも問題ないです。
——では、自宅録音で使うなら、小出力のほうがいいとかあります?
MASAKI:自宅録音ではダイレクト・アウトを使うことが多いと思うんですね。で、ダイレクト・アウトには、プリ/ポストの切り替えが付いているし、ダイレクト・アウトから出す場合はアンプのマスター・ヴォリュームの設定は関係なくなるので、自宅での使用に関しては出力はあまり関係ないかなと。出力については、ライヴの規模、ステージの規模で選べばいいと思います。
——FusionシリーズとLegacyシリーズ、それぞれどんなベーシストにオススメですか?
MASAKI:どちらも、基本的にはジャンルを問わず使えると思います。でも、強いて言うならば、Fusionシリーズはバンド・サウンドの中でボトムを支えるタイプのベーシスト、Legacyシリーズはスラップや速弾きなどでの音の素早い反応重視するベーシストですね。

Legacyシリーズは各ツマミを押すとLEDが青くなり、オーバードライブのオン/オフや機能を切り替えられる

Fusion 800SとLegacy 800は同じサイズ。本誌とほぼ同じ大きさで、重さは約2.6kg。
手軽に持ち運べる

▲付属のフットスイッチで、オーバードライブ・チェンネルに切り替えられる

 

MASAKI流の音作り〜Fusion 800S
バンド・サウンドに埋もれないバッキング向け

タッピングのフレーズを活かす音作り

上段は、メタル・サウンドの中で、ヌケてくるベース・サウンドのセッティング。オーバードライブをオンにして、ハイ・ミッド以外はやや上げめ、level/bodyはbodyを選択して低域をさらに加えている。
下段は、タッピングのフレーズが際立つ音作り例。こちらはオーバードライブをオフ。bass/bumpはbump、treble/presはpresを選び、さらに高域と低域を立たせている

MASAKI流の音作り〜Legacy 800
バンド・サウンドに埋もれないバッキング向け

スラップのフレーズを活かす音作り

▲上段は、ハード・ロック/メタル・サウンドの中でも存在感を放つベース・サウンドのセッティング。Legacyでは、オーバードライブをオフにしての音作りだ。EQ類はセンターを基本に、ヌケのよさを求めて、ロー・ミッドやハイ・ミッド、トレブルを加えている。
下段は、スラップ・フレーズ向けの音作り例だ。バンプ・スイッチをオンにして低域をブーストしつつ、コントゥアー・スイッチもオンにしてドンシャリ気味の音にまとめている。

■Fusion 800Sが通販で購入可能■
○神田商会 公式オンラインストア
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr264/gr265/gr268/00113-00106085
○御茶ノ水楽器センター
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00113-00106085.html

■Legacy 800が通販で購入可能■
○神田商会 公式オンラインストア
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr264/gr265/gr649/00113-00106077
○御茶ノ水楽器センター
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00113-00106077.html

問:株式会社神田商会
http://www.kandashokai.co.jp/flos/gallien_krueger/

 

◎マサキ:2020年2月に解散を発表したCANTAのベーシストとして活躍(※解散ツアーは2021年に延期)。並行して、ダイダ・ライダや地獄カルテットなどでも活動しつつ、ソロとしても4枚のアルバムを発表し、速弾きやタッピングなどの超絶テクは、“ギター殺し”と称されている。2020年7月現在、ダイダ・ライダのニュー・アルバムを制作中だ。

最新ソロ・アルバム:『PIT-LOW2』
キングレコード KICS-3753

MASAKI  公式サイト
http://www.masaking.com/