名ブランドのグヤトーンが復活！

1956年に設立された東京サウンド株式会社。同社が手掛けていたギターやエフェクターのブランドがグヤトーンだ。超小型エフェクターのマイティ・マイクロ・シリーズなどで人気を博しながらも、残念ながら2013年に同社は倒産してしまった。その悲報に涙したミュージシャンは多かったが、そのグヤトーンがまさかの復活！　その第1弾として正式に発売がスタートしたCBu1をチェックしてみよう。
※WeROCK 072の掲載記事より。

グヤトーン復活劇やCBu1のコンセプト

グヤトーン復活の立役者として、2名の人物を挙げておきたい。
まずは、アメリカ・イリノイ州在住で、ビザール・ギターの収集やグヤトーンの研究を行なっていたナザニエル・デモント氏。DeMont Guitarsという楽器店をオスウィーゴで運営する彼が、グヤトーンのブランド名を取得し、ワウ・ロッカーなどのリメイク版を製作し、アメリカを中心に販売してきた。そのアメリカから、再び日本でグヤトーンのペダルを広げようと開発されたのが今回のCBu1となる。
このCBu1は日米で共同開発されたもので、日本側のキーパーソンとなったのが、グヤトーンでビルダーとして活躍していた鳥居利彦氏だ。当時のCB3などを手掛けたスタッフにより開発が行なわれ、日本で先行発売されることとなったが、開発にあたっては、“原音を忠実にブーストする”という考えを捨てて、演奏に合った音質の向上ということが念頭に置かれたという。また、デザインも使い勝手や丈夫さも考え、電子パーツに関しても信頼度が高く、安定して生産するために入手しやすいものが選ばれている。そして、当時のグヤトーンと同じく、ミュージシャンやレコーディング・エンジニアの意見も取り入れて完成したのが、このCBu1なのだ。
そして、このCBu1に続くエフェクターの開発も順調に進んでいるとのこと。そちらも楽しみだ。

▲鳥居利彦氏。ミュージシャンからの信頼も厚いビルダーである

CBu1のサウンドは？

では、CBu1の試奏に移ってみよう。残念ながら、WeROCK試奏担当が名機といわれるCB3を弾いたことがなく、それとの比較ではないのでご了承いただきたい。
さて、ブースターということなので、やはりアンプをドライヴさせた形での試奏からいってみよう。ブースターらしくアウト・レベルを3時、ゲインをゼロ、トーンは12時にしてCBu1をオンにしてみると、すぐに、このモデルの特性がわかる。まず、原音に対して素直なのだ。基本はクリーン・ブースターだが、もちろん、なにも変化がないわけではない。トーンがフラットな状態で、かなり低い部分から持ち上がってくれて、低〜中域あたりに太さを出してくれている。このあたりは、太くなりすぎと感じるのであればトーンを3時あたりにしていくと原音＋αになるだろう。ギタリストがブースターに欲するコンプレッション感はどうだろう？　これまた素直で、オーバードライブほどのコンプ感もなく、違和感のないトーンで弾ける。
では、ゲインを上げていくとどれぐらい歪んでくれるのか試してみる。9時から12時……サスティンや倍音成分が増えてくるが歪みが増してる感じはない。アンプが歪んでるとわかりづらいのでアンプをクリーンにして続けてやってみると、3時ぐらいまではほぼクリーン・ブースト。３時をすぎたあたりから、いっきに歪みが増してフルで強めのクランチぐらいまで稼げた。ただ、やはり、このモデルはゲインは絞り気味でブースターとしての使用がオススメ。とくに真空管アンプと組み合わせれば原音を変化させることなく、おいしくブーストしてくれる。

▲ルーク・キャップと呼ばれる部品が付属する。
コントロール・ツマミに付けることで、プレイ中にピックでツマミをコントロールできる。
着脱も簡単だ

▲トゥルー・バイパスか音量設定可能なアクティヴ・バイパスかを選べる

グヤトーン　Cooler Booster CBu1
￥オープン

〈仕様〉　●コントロール：M-ヴォリューム、トーン、ゲイン、アクティヴ・バイパス・スイッチ、レベル　●入出力端子：インプット、アウトプット　●電源：9v乾電池、 ACアダプター（別売）　●外形寸法：60（幅）×57（高さ）×96（奥行き）㎜　●重量：197g（乾電池を含まず）

ピックも同時発売！

CBu1とともに発表されたのが、PC12ISO。
3ヵ所がさまざまなR形状となっていて、演奏スタイルに応じて使い分けられるというのが特徴だ。また、スリットによりピッキング・ノイズが大幅に軽減されるという。長時間の演奏でも疲れにくい厚みと滑り止めが施されていて、素材はPC＋カーボン。今後もさまざまな素材・形状での新ピックの発売も予定している。