7弦ギターを制する者はギターを制する!?〜Cazqui×Caparison編

先日より公開している7弦ギターの試奏レポート。今回は猫曼珠のCazquiによる試奏記をお送りしよう!
※WeROCK 069の掲載記事より。

 

キャパリソン ORBIT 7-CZQ ¥オープン価格

〈仕様〉 ●ボディ:マホガニー ●ネック:メイプル&ウォルナット、ツイン・チタン・サポート・ロッド、スルーネック ●指板:メイプル ●ピックアップ:フィッシュマン フルエンス・モダン・アルニコ・マグネット(フロント)、フィッシュマン フルエンス・モダン・セラミック・マグネット(リア) ●コントロール:ヴォリューム(プッシュ/プル)、3ウェイ・ピックアップ・セレクター、キル・スイッチ ●ブリッジ:シャーラー トレモロ・ロッキングマイスター7Strings

 

ヴォリューム・ツマミをプルすると、パッシヴ・サウンドに切り替わる

▲従来のような9v乾電池ではなく、USBで充電して使う。
また、プレートにはCazquiのサインがプリントされている

 

 

キャパリソン DELLINGER 7 PROMINECE ¥350,000+税

〈仕様〉 ●ボディ:マホガニー&メイプル  ●ネック:メイプル/ウォルナット、ボルト・オン ●指板:エボニー ●ピックアップ:キャパリソン PH7-n(フロント)、キャパリソン PH7-b(リア) ●コントロール:ヴォリューム、シャーラー・5ウェイ・メガ・スイッチ ●ブリッジ:フロイド・ローズ FRTS200K

 

▲中央はメイプル材、両サイドはマホガニーというボディ構造となっている

 

▲ボディ中央のメイプル材とネックの幅が同じとなっている。
この構造が音の立ち上がりの速さを生む

 

Cazqui:自分のシグネイチャー・ギターとして発売されたばかりなのが、このORBIT 7-CZQです。
キャパリソンを使い始めてもう10年ぐらいになるんですが、当時はいい7弦ギターの選択肢ってすごい少なかったんです。多くの人がアイバニーズを使っていて、それとは違うギターで個性を出そうと思うと、キャパリソンとあと1社とか2社しかなかったんですよ。その中で、キャパリソンのオイル・フィニッシュのデリンジャーを買ったんです。オイル・フィニッシュって珍しかったし、ヘッドもカッコよくて、デリンジャーを選んでよかったと思います。
それで、このシグネイチャーを作る前に弾いていたギターが、今日試奏したDELLINGER 7 PROMINENCEだったんです。このギターが、ホントにもう完成されているんですよ。EQをかけなくても、今時の音が出せる。自分の中でのモダン・メタルは、このデリンジャーがあればできるんですね。
そんな完成されたギターがあったうえで、自分はどんなギターが好きなんだろうって考えたんです。それで、わかりやすいところだと、マイケル・シェンカーやマイケル・アモットなどのVを使っているギタリスト、半止めワウの音も特徴の松本孝弘さんとか……そういう中域にクセがあるギタリストが好きなんですね。ヘヴィなバッキングは僕達の世代だとみんな弾くけど、そういう人達と違う部分、自分の好きな部分を出したくて作ったのが、ORBIT 7-CZQなんです。
そして、LAメタルとかヴィジュアル系とかの自分のルーツもあって、わかりやすいハデさが欲しかったし、もちろん音のクオリティも考えて、キャパリソンの中からVシェイプのORBITをもとにしようと。

手にした感じですが、ネックは太めまでいかないけど、“握り”感はあります。ネックが細かったり薄かったりすると、逆にムダに握り込みすぎて疲れる人もいると思うんですが、このギターはそれがないですね。音の面では、ヴィンテージなVタイプというわけでもなく、モダンに寄りすぎてもないし、オールマイティに使えるタイプだと思います。そこまでドンシャリでもなく、ミッドだけがある感じでもない。デリンジャーは音の立ち上がりの速さもあるし、今時の音なんですけど、ORBITには、しっかりと歪みつつ、オールドスクールなリード・ギター・サウンドが好きな人が気持ちよく弾けるようなバランスが加わっていると思います。V特有のまろやかさを、メイプル指板の音の早さでカヴァーしている印象もありますね。
機能面では、ヴォリューム・ツマミをプルするとパッシヴ・ライクな音に切り替えられます。アクティヴ・ピックアップのコンプ感が苦手なギタリスト、細かいニュアンスを出したいギタリストにいいと思います。キル・スイッチは、自分の奏法に欠かせないし、ライヴ中のミュートも速いし、というところで付けました。

いっぽうDELLINGER 7 PROMINENCEですが、ネックの感じは僕のシグネイチャーと比べるとネックは細めで薄めですかね。そして、さっきも話したように、これ1本でモダンなサウンドを出せるギターです。オーバードライブとかの補正もいらないぐらいです。傾向としてはドンシャリですが、細いドンシャリじゃなくて、ミッドも出ているドンシャリです。あとは、ここからどう削っていくかというギターですね。歪んだ音で速い刻みを弾いても音がグシャっとしないし、メタルコア、モダン・メタルをやるには最高のギターだと思います。あと、今日弾いているデリンジャーは作られてからある程度、時間がたっているのか音が少し優しい感じがします。僕は出来立てのデリンジャーを使っていたので、最初の頃はホントにじゃじゃ馬で……そこもギターならではだし、他のギターもそうですけどデリンジャーも弾き込むことでどんどんよくなっていくギターだと思います。
全体的な作りはしっかりしているし、いいギター、そして音は凶悪。ホントにメタル、モダンなサウンド向けだし、マジメにメタルのレコーディングやライヴを考えるとデリンジャーだと思います。そういうメタルに特化しているという意味で、初心者にオススメはしないですね(笑)。

 

キャパリソンの最新モデルがこちら!

 

キャパリソン DELLINGER 7 FX-AM

デリンジャー7 FX-AMの2019年モデルがこちら。
従来のデリンジャー7 FX-AMの改良版と言える1本で、指板のクロック・インレイの採用や木目が浮き立つ3つの新色(ダーク・グリーン・マット/写真、ダーク・ブラック・マット、ダーク・ブルー・マット)などが新たな特徴だ。
基本的な仕様は従来のデリンジャー7 FX-AMを踏襲し、ワイド・レンジかつ強いアタックを感じさせるサウンドがポイント。コントロールは、必要最小限のマスター・ヴォリュームとピックアップ・セレクターのみ。仕上げのよさ、信頼度の高いパーツの採用など、キャパリソンならではのクオリティを誇る。オープン価格。

問:Caparison Guitars
https://www.caparisonguitars.com

 

◎Cazqui/カズキ。昨年末にノクターナル・ブラッドラストを脱退、そして今年、新バンドの猫曼珠(ねこまんじゅ)を立ち上げた。王道のハード・ロック/ヘヴィ・メタルからモダンなサウンドまで幅広く吸収したプレイ・スタイルとアグレッシヴなステージングで、広く注目を集めるギタリストだ。また、猫曼珠は4月17日に渋谷TSUTAYA O-WESTでのワンマンを控え、同日にはファースト・シングル「ハイにナルマデ」を発表する。

猫曼珠公式サイト
http://neko-manju.com/