LOUD PARK 17の2日目をレポート!
10月14日、15日の2日間、さいたまスーパーアリーナで開催された“LOUD PARK 17”。その2日目の模様をレポートしよう。
この日のオープニング・アクトを務めたのは、クライ・ヴェノム。
アメリカからの新世代パワー・メタル・バンドで、メロディアスな側面だけでなくモダンなテイストも感じさせるサウンドと初々しいステージングが印象に残った。
そして、当日まで明かされることがなかったシークレット・アクトの登場だ。ファンの間では、さまざまな憶測が流れる中、フロアには続々と観客が集まっていく。そんな中、SEとしてモーターヘッドの「エース・オブ・スペーズ」が流れた瞬間、歓声が起こる。その歓声の中、ステージに現われたのは、ブラック・アースだった! マイケル・アモット(g/アーチ・エネミー)を中心に、初期アーチ・エネミーのメンバーが結集した5人組で、彼らが放つサウンドは、まさにメロディック・デス・メタルの開祖とも言えるもの。その激情サウンドでフロアに熱狂の渦が巻き起こしてくれた。
続いては、ラウド・パークの10日ほど前にニュー・アルバム『Raging Out』をリリースしたばかりのアウトレイジだ。いきなり「My Final Day」で会場の空気を自分達のものにすると、その後も最新作からの楽曲と代表曲を織り交ぜ、アウトレイジらしいヘヴィでアグレッシヴなステージを展開。バンドが上り調子にあることを存分に感じさせてくれた。
チェロによるメタルという唯一無二のサウンドで迫るアポカリプティカ。今回のステージは、アポカリプティカの原点でもあるメタリカのカヴァーで統一。クラシック的な色合いとメタリカの楽曲の持つヘヴィネスが融合し、独自の世界観を築き上げていた。
そして、我らがラウドネス! 観客を圧倒していく爆音、そしてその爆音だけどバランスがよくて割れることなく聴きやすい! 前半に2000年代以降の楽曲、そして「Rock This Way」をはさみ、後半は「Crazy Nights」から「In The Mirror」、「Crazy Doctor」、「S.D.I.」という名曲でたたみかけてくれた。なお、ラウドネスは12月28日=六本木EXシアターでのライヴが決定しており、そのライヴは〜ATLANTIC YEARS〜 “MILESTONE”として、アトランティック時代の楽曲を中心に行なわれるとのことだ。
デヴィン・タウンゼント・プロジェクトはメタルを軸にアンビエントな面も取り入れたサウンドで迫る。デヴィンを軸にタイトなプレイで世界観を構築していき、観ている者を惹き付けていく。デヴィン自身の幅広い音楽性の一端がかいま見えたステージだった。
いっぽうで、オーセンティックなハード・ロックを聴かせてくれたのが、ブラック・スター・ライダーズだ。元シン・リジィのスコット・ゴーハム(g)やジ・オールマイティのリッキー・ウォリック(vo & g)らによる彼ら。ツボを押さえた味わいのあるメロディアスでハードな楽曲で観客を魅了してくれた。
初日のエンペラーとはまた違ったブラック・メタルを届けてくれたのがクレイドル・オブ・フィルス。ハイ・トーンとデス声を織り交ぜてのダニ・フィルス(vo)の存在感やゴシックの要素も取り入れたエクストリームなサウンドで、強烈な印象を与えてくれた。また、来年5月の東名阪ツアーも発表されている。
メシュガーもまた、個性的なラウド・サウンドで迫ってくれた。ヘヴィなリフと多彩なリズム展開で、激しさと重さ、そしてテクニカルな面を融合したライヴを展開。また、照明もサウンドとピッタリとマッチし、聴覚だけでなく視覚の面でもファンを圧倒していた。
初来日となった2年前のラウド・パークで強烈な印象を与えてくれたのがサバトン。今回も戦車のステージ・セットが持ち込まれ、ライヴが始まる前から期待度は高まり、多くのファンがステージ前に集まっていく。その期待に応えるように、パワー・メタル・サウンドでファンを圧倒していく5人。日本の西南戦争をテーマにしたという「Shiroyama」では、サバトンもコラボしたゲーム『World of Tanks』の音楽を担当した山岡晃がゲスト・ギタリストとして参加したシーンも含め、今年のラウド・パークでもサバトンは記憶に残るライヴを観せてくれた。
キッスのジーン・シモンズが率いるジーン・シモンズ・バンドは、キッスの名曲を惜しげもなく連発! トリプル・ギターにより、厚みも加わったキッス・クラシックスは、また違った印象も与えてくれた。途中と最後にはファンをステージに上げていっしょにコーラスするというちょっと混沌としたシーンもあったが、ジーンの軽妙な日本語のMCもあって、終始楽しげな雰囲気で楽しませてくれた。
そして、今年のラウド・パークを締めくくってくれたのが、マイケル・シェンカー・フェスト。ゲイリー・バーデンとグラハム・ボネット、ロビン・マッコーリーというマイケル・シェンカー・グループの歴代ヴォーカリストを迎え、それぞれの時代の代表曲が次々とプレイされていく。そして、マイケル・シェンカーは“神”と称されるにふさわしいプレイで、観客の目と耳を奪い続けていく。「Rock Bottom」ではソロをたっぷりと聴かせ、ラストの「Doctor Doctor」までたっぷりとシェンカー節を聴かせ、大盛り上がりの中、ラウド・パーク17は幕を閉じた。
毎年言われることだが、終わってみれば“よかった! 楽しかった!”とファンを満足させてくれるラウド・パーク。今年も多くのファンから好評だったと思う。“日本最大にして唯一のメタル・フェス”=ラウド・パーク、来年の開催も期待したい!