LOUD PARK 17の初日をレポート!

10月14日、15日の2日間、さいたまスーパーアリーナで“LOUD PARK 17”が開催された。
今年は2ステージで、オープニング・アクトを含め、全24組のバンド/アーティストが登場し、ハードでヘヴィ、そしてラウドなステージでファンを魅了。まずは、その初日の模様をレポートしよう。

オープニング・アクトとしてフェスの口火を切ったのはアルディアス
4月から全都道府県ツアー中を展開中の彼女達。その精力的なライヴ活動で培ったエネルギーをもとにメタリックな楽曲を中心としたセット・リストでラウド・パークの幕開けを飾ってくれた。また、5月にリリースした6thアルバム『Unlimited Diffusion』に続いて11月29日には年内2枚目のアルバムの発表も予定されている。

“ラガ・メタル”と称されるレゲエとメタルを融合させたサウンドで迫るスキンドレッドがステージに登場。“レゲエ”という文字だけ見ると、どこかハッピーな空気を感じるかもしれないが、彼らのミクスチャー・サウンドはかなりヘヴィ。どこまでをメタルに含めるのか難しいが、彼らのサウンドもメタルであり、午前中から駆けつけたメタル・ファンを惹き付けていた。

次に登場したのは、このラウド・パークが初来日となるドイツのビヨンド・ザ・ブラック。女性ヴォーカルのジェニファー・ハーベンが中心となって結成されたシンフォニック・メタル・バンドで、メロディアスな楽曲を軸にラウド・パークを盛り上げてくれた。中盤では、ピアノの弾き語りでモーターヘッドの「Love Me Forever」も披露したことも印象に残った。

続いてはL.A.ガンズ。一時期、フィル・ルイス(vo)とトレイシー・ガンズ(g)という中心人物が、それぞれL.A.ガンズを率いるということもあったが、昨年、フィルとトレイシーが合流。今年新作も発表している。このタイミングでの来日ということで、L.A.メタル・ファンから注目を集めたステージとなった。ライヴは、80年代の代表曲を抑えて、90年代の楽曲や新曲まで幅広く披露、現在進行形のバンドであることをアピールしてくれた。

そして現在、“ENTER THE NEW WORLD -Live Circus Vol. 3-”として、全国のライヴ・ハウスを転戦中のアンセムが、2年ぶりにラウド・パークに登場! 森川之雄(vo)が“ラウド・パークに向けて、特別なセット・リストを組んだ”とMCしていたが、新作『ENGRAVED』からの「THE ARTERY SONG」と「FAR AWAY」とともに「BOUND TO BREAK」や「HUNTING TIME」など代表曲を凝縮したステージを披露。最後の「ONSLAUGHT」まで、ハイ・テンションなライヴを繰り広げ、日本代表の一角としてその存在感を存分に示してくれた。

会場の空気を一変させたのは、ブルへリア。ストリート・ギャングのような出で立ちとコアなサウンドに、観客も暴徒のようなノリで応えていく。ドナルド・トランプ大統領を批判するという政治的なメッセージやマリファナに関する歌も含めて、今回の出演陣の中でももっとも異端といえる存在だったと思えたが、強烈な印象を残してくれたのも事実だ。

ウィンガーは高い演奏力とハイ・クオリティな楽曲で圧倒。結成30周年を迎えての円熟味の中、ハツラツとした面も感じさせるステージを繰り広げていく。レブ・ビーチ(g)のプレイにも、あらためて賞賛の声が上がるなど、さすがベテランと思わせるステージ運びで盛り上げてくれた。

ウィンガーが“明”なら、プログレッシヴ・デス・メタルのオーペスは“暗”……いや、そんな単純なものでもないが、オーペスのライヴで空気感がまた変わったのは間違いない。近年の楽曲では、“デス”的な側面は薄れつつあったようだが、このステージでは初期曲も披露され、ファンから喝采を浴びていた。

スラッシュ・メタルの始祖的なバンドのひとつ、オーヴァーキルは、持ち味の疾走感と切れ味で観客を鼓舞していく。ボビー・“ブリッツ”・エルズワース(vo)の衰えを知らない個性的なハイ・トーン・ヴォーカルもさすがのひとことで、近年の精力的な活動で確固たるファンをつかんでいるのも納得のステージを観せてくれた。

レジェンド中のレジェンド、アリス・クーパーはさすがの存在感だった! そのシアトリカルなライヴから唯一無二の“ショック・ロック”と呼ばれるアリスは、約1時間という限られた中でも、見どころ満載のステージを展開。次々を衣装を変えたり、巨大化したアリスが登場したりと、エンターテインメントに満ちたライヴは楽曲を知らなくても盛り上がることができ、まさに“ショウ”と呼ぶにふさわしい一幕で観客を虜にしてくれた。

初日のラインナップで、開幕前からもっとも注目されていたのは、もしかしたら、このエンペラーではなかっただろうか? ブラック・メタル界の皇帝として知られるその彼らが、セミ・ヘッドライナーとして登場。ヘヴィかつアグレッシヴ、そしてプログレッシヴな側面も感じさせるサウンドで、またたく間に会場を支配するさまは、まさに皇帝の名にふさわしかった。ブラック・メタルと聴くと、第一印象として“反社会的”あるいは“悪魔的”という単語が浮かぶメタル・ファンもいるだろうが、純粋にメタルとして高いクオリティがあるからこそ、これだけの支持が得られるのだということを感じさせてくれたのだった。

そして、初日のヘッドライナーはスレイヤー!! アリーナには入りきれないほどのファンが集まり、会場の熱気がどんどん高まっていく。「リペントレス」で幕を開けたステージは、その後も新旧の代表曲を織り交ぜ、攻めの姿勢を崩すことなく展開されていく。トム・アラヤ(vo & b)の存在感、ケリー・キング(g)の切れ味と重さを兼ね備えたリフには圧倒されるばかり。もちろん、2013年に正式加入したゲイリー・ホルト(g)とポール・ボスタフ(ds)の2人のプレイも、当たり前のことだがスレイヤーの核となっている。ワンマン・ライヴかと思えるほどの盛り上がりと一体感を作り上げたスレイヤーの激熱激重ライヴで、ラウド・パークの初日の幕は閉じた。