METAL DIVAがsEエレクトロニクス V7を試奏

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WeROCK 109のMETAL DIVA特集。
その番外編として、リスキー・メロディのALICEによる“sEエレクトロニクス V7”の詳細な試奏記事、大山まきや凪希、EYE、Reganによる試奏コメントをお届けした。
ロックに最適なマイクというV7。その実力を探ってみよう。


ALICEによる試奏動画


sE Electonics
V7
¥20,900(税込)

【仕様】
●タイプ:ダイナミック
●ヴォイス・コイル素材:アルミニウム
●マグネット素材:ネオジム
●サスペンション:特許取得済み内蔵ショック・マウント
●指向性:スーパーカーディオイド ●周波数特性:40Hz〜19kHz
●感度:2.0mV/Pa(-54dB)
●インピーダンス:300Ω
●コネクター:3ピンXLRコネクター(オス)
●外形寸法:54(直径)×184(長さ)mm
●重量:305g

スタンダード・モデルの他、同じスペックのカラー・ヴァリエーションも充実!
左から、ブラック、クローム、レッド、ホワイトだ。希望小売税込価格はクロームが¥26,400、他の3色は¥20,900となっている

V7の集音能力を表わしたグラフ。低いところから高いところまで声域をカヴァーしているのはもちろん、ヴォーカル用マイクとしての指向性に優れているのもわかる

付属品。内容は、専用キャリング・ポーチとマイク・クリップ、交換ネジ、交換用ウィンド・スクリーン(ブラック)だ


■ALICE 編〜
軽くてライヴでも扱いやすいのは
女性アーティストにすごくいいと思います

——今回、ライヴ・シチュエーションでsEエレクトロニクスのV7を使って頂きました。そもそも、マイクを選ぶ時にこだわりはありますか?
ALICE
:リスキー・メロディはライヴ・バンドなので、ライヴでどうヴォーカルが聴こえるかを大事にしてるんですね。歌詞がストレートに伝わりやすいほうがいいので、フワっと楽器の上に乗るようなタイプよりも中高域がギュンって来るようなマイクを選んでます。あとは、パフォーマンスが激しいので、それに対応できるものが好きですね。
——とすると苦手なタイプもある?
ALICE
:キンキンする高域が強いタイプは声に合ってないかなと思います。あとは、自分の声が抜けにくいのも苦手ですね。レンジが広くて、あまりハイが強すぎないのが好みかもしれないですね。これまで、すごく多くのマイクを使ってきたわけではないんですが、今まで持っていたマイクでそのあたりは感じていました。
——そういうALICEさんに、今回、V7 Redを使って頂いたわけなんですが……。
ALICE
:めっちゃ、カワイイです!!!! まず、赤は最高です!
——ヴィジュアルはマイク選びのポイントになります(笑)?
ALICE
:なりますよ! 以前は、金色だったり白色にコーディネイトできるマイクを使ってたりもしてたんです。赤って、ちょっと衣装とかも選ぶじゃないですか? だから、白とか金を使ってたんですけど、赤を見ると、やっぱりカワイイな〜って思います(笑)。このsEのロゴまでカワイイです。
——今回、バンド演奏する前に、いきなり声を出した時点で違いを感じてましたね?
ALICE
:違いました。PA卓のほうでEQのセッティングを、ふだん使っているシュアー用のまま試してみたんですね。シュアーは、声が“キュン”って尖った感じで出るんですけど、V7は“ボーン!”って全体的に出てくれるんです。バンドに合わせても、低い部分でもいい響きで聴こえました。低い音域の声も生声のままの低音を再現してくれるように感じましたし、広く出てくれる感じに思いました。PAのEQセッティングをフラットにしても試してみたかったですね。
——そこまでマイクによって違いが出るものですか?
ALICE
:違いますね〜。V7は、今回のような音域に幅のある曲(動画参照)に合ってると思いました。
あと、ライヴにすごくいいですね。他のマイクだとハウリングしてしまうような環境でも、V7だとぜんぜんハウらないです。周りの楽器隊の音を拾わずに、自分の声だけを拾ってくれるんですね。私、自分でエフェクトを操作してかけるんですが、マイクが楽器隊の音も拾ってしまうと、その音にまでエフェクトがかかってしまうんです。試しにやってみると、マイクの真ん中に向かって声を出すところから少しずらすと、V7は声を拾わないんですね。
すなわち、自分の声だけを拾ってくれて、まわりの楽器隊の音は拾いにくいみたいなんです。V7だと、純粋に自分の声だけエフェクトがかかってくれる。私、声量をコントロールする時にマイクを離したりするんですけど、その時に他の音を拾ってしまうじゃないですか。
あとは、めちゃくちゃ軽いんです! すごい軽い! 今まで触ったマイクの中で、いちばん軽いんじゃないかって思います。ライヴの時、マイクを持ったままパフォーマンスをするじゃないですか。そういう時も、女子にとっては助かるというか操作性がすごくいいかなと思いますね。
——たとえばマイクを離した時も、他の楽器を拾いにくいということは、PAさんにも優しいということですね。
ALICE
:そう思います! 私、そういう時とかハウりやすい場所に行く時とかにマイクをオフにしたりしてたんですよ。たとえば、ギター・ソロ時にギター・アンプの近くに行く時はオフったりしてました。それをする必要もないし、ライヴ初心者にも扱いやすいんじゃないですかね。逆に、ちゃんと正面で歌わないと拾ってくれないというのはありますが、それはヴォーカリストならぜんぜん問題ないと思います。
——先ほどハウリングのことを言われてましたけど、ロック・バンドだとやはり気になりますよね?
ALICE
:私、イヤモニを使わないので足元のモニターから自分の声も返すんですね。ハウリングのことを考えると返せる量が限られてくるし、周りの楽器の出せる音量も考えなきゃいけないじゃないですか。V7だと、そのあたりも有利かもしれないですね。
あと、マイクが転がらないように加工されてるじゃないですか? これ、めっちゃありがたいと思います! マイクって、ころころ転がっちゃうので、これなら机にも置けます。私、何回も転がして落としちゃったこともあるんで(笑)。
——今回はライヴ・シチュエーションで試してもらいましたが、ALICEさん的にはどういう場面がいちばん適してると思いましたか?
ALICE
:これだけ周りの音を拾わないとなると、やはりライヴ・シーンがベストだと思います。あとは、リハーサル・スタジオもいいかもしれないですね。私のワイアレスには接続できなかったんですけど、ワイアレス用のを接続して音がどうなるのかも気になるところでした。色もお気に入りですけど、ライヴで軽くて扱いやすいのは女性アーティストにすごくいいと思います。

本体は305gと軽いところもALICEのお気に入りポイント

感度もいいため、マイクと口との距離でのヴォリューム・コントロールも行ないやすい


■大山まき 編〜
周りの音量が大きい現場や声を太くするのに合ってますね

◎第一印象:持ってみてマイクの軽さにびっくりしました。ステージで歌うのに向いている! しっかり音を拾うのに、これだけ軽いのはすごいです。気合い入れる時にマイクを握り直すクセがあるんですが、その時のノイズも格段に少ない印象でした。
◎歌ってみての感想:チリチリした上の帯域が少なめでナチュラル。歌う時の近接効果のせいかも知れませんが、ロー〜ロー・ミッドがグッと出る感じです。
◎ハンドリング・ノイズやポップ・ノイズの少なさ:ハンドリング・ノイズがかなり少ないので音数の少ないバラードやシビアな静かな環境に適してると思いました。あとローが出るので、逆に吸音がすごいデッドなハコとかでもしっかり低音を出してくれそう!
◎ふだん使用しているマイクとの違い:ふだん使っているのは上の帯域がガツンと出るので、カラーは真逆に感じて、とても新鮮でよかったです!
◎オススメの声質、ジャンル、シチュエーション: ヘヴィ・メタルを始めとした周りの音量が大きい現場で、ファルセット系の女性ヴォーカルにも向いてるかと思いました。ゲインがしっかり取れるのでハウることもないと思いますし。あと下の帯域にフィーチャーされてる印象なのでミックス・ヴォイス使いや、少しキンキンする声を太くするには合ってますね! トライさせていただいておもしろかったです!


■凪希(HAGANE) 編〜
高音が抜けにくいというヴォーカリストにオススメです

◎第一印象:とってもカッコいいヴィジュアル! シルバーが大好きなので心躍りました!
◎歌ってみての感想:高音の抜けがいいなと感じました! そしてマイクが持ちやすい。そして思ったより軽かったので持っていて疲れるとかもなかったです!
◎ハンドリング・ノイズやポップ・ノイズの少なさ:まわりのノイズをしっかりハジいてくれるからこそ、スタジオなどの狭い環境での練習にも適してるなと思いました!
◎オススメの声質、ジャンル、シチュエーション: 高音が抜けにくい方におすすめかなと思います! 自然とハイが抜けるようになってる感覚だったので! 私はそれこそHAGANEの曲でやりましたけど、ジャンルで言えば、もしかしたらバラードとかでも向いてるかも……? と思いました!


■EYE 編〜
バンド中で埋もれにくく、ライヴでかなり有利だと思います

◎第一印象:ボディが細めで女性が扱いやすいサイズ感だと思います。指向性が狭く低ノイズなので、グリルにベタ付けで歌うスタイルが相性よさそうです。
◎歌ってみての感想:単体での感触はミッドに厚みがあり、ハイ・ローが薄い印象ですが、他楽器と被りやすい帯域がしっかり存在しているのでバンド中で埋もれにくく、ライヴでかなり有利だと思います。
◎ハンドリング・ノイズやポップ・ノイズの少なさ:圧倒的にハウりにくいです!  出力自体は既存マイクに比べ少ないものの、ゲインをかなり上げてモニターギリギリで直角に向けてもハウりませんでした。ホルダーに挿す時のノイズも演出のジャマになりにくいです。
◎ふだん使用しているマイクとの違い:自分が普段使用しているゼンハイザー(e935)は振り幅広いニュアンスに適応するバランス型です。対してV7はどんな環境下でも存在感を誇示できる音圧特化型だと思います。
◎オススメのヴォーカリストや声質、ジャンル、シチュエーション: ゴリゴリのギター・サウンドや手数の多いドラミングに囲まれても力まず抜きん出ることができるので、タフさが求められる現場向きです。また、ハイが痛くないので子音を強く発音する英詞曲が向いているように感じました。


■Regan(SAISEIGA) 編〜
感度が安定していて、声量のパフォーマンスを一定に保ちやすいです

 

◎第一印象:見た目がいい。軽くて女性も持ちやすい。音もクリア。
◎歌ってみての感想:増幅感、パワーというよりは、安定したナチュラル感でした。
◎ハンドリング・ノイズやポップ・ノイズの少なさ:ハウりにくさは実感しました。
◎ふだん使用しているマイクとの違い:ダイナミクスの感度が安定していて、声量のパフォーマンスを一定に保ちやすいように感じました!
◎オススメのヴォーカリストや声質、ジャンル、シチュエーション: 見た目カッケーのを持ちたい人、テンションによって声量バランスが不安定になる人によさそう。


その他のV7シリーズ

V7シリーズとして、シュアーのワイヤレス・マイク(BLXシリーズ、GLX-Dシリーズを除く)に付けられるマイク、V7 MC1も発売されている(希望小売税込価格 ¥26,400)。カラーは写真のブラックとスタンダードなシルバー・タイプ。
同様にゼンハイザーのワイヤレスに付けられるV7 MC2(希望小売税込価格 ¥26,400)も発売。MC2には4種類のカラー・ヴァリエーションが揃っている

 

▲アルター・ブリッジやスラッシュ feat. マイルス・ケネディ & ザ・コンスピレーターズのヴォーカリスト、マイルス・ケネディ。彼のシグネイチャー・ヴォーカル・マイクだ。
外観はもちろんのこと、スタンダード・モデルと比べてやや細身のボディ、マイルスのために調整が加えられた周波数などが特徴。希望小売税込価格は¥26,400

▲オン/オフ・スイッチ付きのV7 Switch。希望小売税込価格は¥26,300

 

■V7の詳細■
https://hookup.co.jp/products/se-electronics/v7