高崎 晃の最新シグネイチャー・ギターを弾いてみた!

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すでにマニアの間で話題となっているキラー・ギターの新製品KG-Violator deacon AKIRA TAKASAKI CUSTOM 3S。
シグネイチャー・モデルに続き、2本のディーコンも発売され、オーソドックスな中にも、高崎ならではのアイディアが踏襲されたモデルとなっている。
高崎本人のインタヴューを交えながら、シグネイチャーとともに合計3本のキラーを試奏してみた!


いろいろな場面で活躍しそうな1本になってる(高崎 晃)

▲写真:吉浜弘之

——高崎 晃シグネイチャー・モデルとしては珍しいというか、オーソドックスなストラト・シェイプのモデルが発売されましたね?
高崎
:以前にも、自分の好みを100%投入してエイジド加工されたモデルがあってね。それとフィニッシュは違うけど、基本スペックは一緒のモデルになってる。ヴァイオレーターといえばシタール・モデルもあったでしょ。その後も何本か試してきて、その完成形ともいえるのが今回のモデルだね。例えば、トーンの位置がヴォリュームから少し離れていて、ふつうのストラトとは違うでしょ。ヴォリュームを操作することがいちばん多いので、この位置にしていてね。あとは、ジャックの挿す角度も違う。ケーブルって、挿した時にストラップ・ピンのほうを向くことが多いので、最初から、その向きになるようなジャックの位置にしたほうがいいと思った。ストラトを弾いていて“こうしたらいいんじゃないかな”と思う部分を反映したモデルになってる。
——シェイプもそうですが、3シングルというのも珍しいかと思いました。
高崎
:そうだね。レイジーで少し使ったり、レコーディングで使ったりはしてたけど、あまりライヴでは使ってこなかったよね。まあ、これからどうなるかわからないけど(笑)。
——今回、試奏もさせて頂いたんですが、シングル・ピックアップにも関わらず、ハムバキングに負けない太い音だと思いました。
高崎
:俺自身は、いつもピックアップにパワーは求めてないんだけどね。ただ、シングルということなので、ハムバッキングに負けないトーンがほしいなとは思ったんだ。だから、オーバードライブなんかをカマしてあげると、シングルとは思えない太い音も出るよ。
——特徴のひとつとして、5ウェイのピックアップ・セレクターに特徴がありますよね?
高崎
:ふつうの3シングルのストラトではできない、フロントとリアのミックスもできるようになってる。これはキラーの担当者といろいろと相談してね。レスポールの2ハムバッキングだと、センター・ポジションでフロントとリアのミックスが出せるでしょ。ハムバッキングとシングルの違いはあるけど、ニュアンス的にはそれに近い部分がある。
使い方としては、クリーン・トーンで使うのもいいし、他のピックアップとトーンを組み合わせることでいろんな音が出せるので、レコーディングでも便利。それに、そのフロントとリアのミックスの時に歪ませてフェイザーをかけたりしても気持ちいいよ。ギター側のヴォリュームをコントロールしながら、多彩なトーンが出せるんだ。
ピックアップ・セレクトでは、パラレルとシリーズというのもこだわっていて、それによって変わったトーンにもなるんだよね。そのトーン・コントローラーも、ピックアップ・セレクターとの組み合わせでいろいろあって、これはキラーの担当者のアイディアがだいぶ反映されてる。俺もちゃんと把握してないと、どれがどのトーンだかわからなくなるぐらい多彩で(笑)、いろんな音が出る。シンプルなんだけど、いろんなヴァリエーションの音が出せるギターになってるね。
——トレモロは、シンクロナイズド・タイプですね。
高崎
:できるだけシンプルなギターにしようと思っていたんだ。弦を交換するのも楽だし、これでチューニングが安定してくれたらいちばんいいよね。
——アーミングしてみると、すごくスムーズですよね?
高崎
:軽すぎると思うならバネを増やして自分好みに調整すればいいし、ストラトのトレモロって重いイメージもあるけど、これに慣れるとアーミングがやりやすくなるし自分好みにセッティングにもしやすいんじゃないかな。
——ピックアップとコントロール類に赤いカラーが見られます。
高崎
:これは、リクエストしたんだ。俺には、ラウドネスのデビュー時から、赤黒のイメージがあるでしょ(笑)。
——ネックは、トライ・ポイント・ジョイントという変わったジョイント方式を採用してますね?
高崎
:キラー特有のディープ・インサート方式とストラトのデタッチャブルのいい部分をミックスした感じだね。ネックが、けっこうボディの中にも食い込んでいるんだ。
——ピックガード付きというのも高崎さんとしては珍しい?
高崎
:ピックガードって材質によっても音が変わるんだよ。それに、ピックガードにピックアップを吊り下げるような形で搭載しているでしょ。これも、もちろんダイレクト・マウントとは違う音になる。俺の場合は、プライムとかでもエスカッションにマウントしたほうが好きなんだけど、このディーコンもピックアップはピックガードに付けているので好みだね。
——ネックは、スリムUシェイプというタイプの形状になってます。高崎さんといえば、Vシェイプだったりどちらのよさも取り入れたVUシェイプを採用してきましたよね?
高崎
:これは、多くの人がいちばん馴染むだろうというシェイプを採用してもらった。初心者でも上級者でも、これ1本あればいろいろな現場で対応できる感じのギターじゃないかな。
——高崎さんは、どういうシーンでこのギターを使う予定ですか?
高崎
:例えばレコーディングの時とか、何本もギターを持っていけないけどオールマイティに録音したい時にこのギターがあると役立つよ。それに、今後のライヴでは、このギターも使おうかなと思ってる。まあ、レスポールで、いきなり「S.D.I.」をやったこともあるので、不思議じゃないでしょ(笑)。あとは、ATF(AKIRA TAKASAKI AND FRIENDS)とかで、ストラト・ナイトとかやって、これ1本でライヴをやるのもおもしろいかなって思ってる。いろんな場面で活躍できそうな1本になってるよ。


KILLER GUITARS
KG-Violator Deacon
Akira Takasaki custom 3S
¥352,000(税込)

【仕様】
●ボディ
:アルダー2ピース(3ピース)
●ネック:ハード・メイプル(スリムUシェイプ/トライ・ポイント・ジョイント/セミ・ディープ・インサート)
●指板:ハード・メイプル(240R/22フレット)
●スケール:648 mm
●ピックアップ:セイモア・ダンカンSSL-1(フロント)、SSL-4(センター)、SSL-5(リア)
●コントロール:マスター・ヴォリューム、5ウェイ・スイッチ(1=フロント/2=フロント&リア・パラレル/3=ミドル/4=ミドル&リア・シリーズ/5=リア)、トーン赤(5ウェイ・スイッチが〈1、2、3〉の位置にある場合用のトーン)、トーン黒(5ウェイ・スイッチが〈4、5〉の位置にある場合用のトーン)
●ベグ:Gotoh SG381-05
●ナット:Bone(41mm)
●ブリッジ:ウィルキンソン VSVG
●フィニッシュ:ブラック

 ストラト・シェイプの高崎 晃シグネイチャー・モデルだ。さっそく弾いてみると、まずネックを握った時に、他のキラーの高崎モデル(プライムなど)よりもガッチリした印象を受ける。これまで、シグネイチャーといえばVUシェイプが多かったが、こちらはスリムUシェイプを採用している。ナチュラルな塗装が手に心地よく、誰でも違和感がない握りになっている。フレットは、幅も広すぎず、高すぎないタイプで、これもオーソドックスだ。シンクロナイズド・トレモロも含めて、本人が言っているようにすべてがオーソドックスなスタイルで懐かしさを感じるモデルとなっている。そのウィルキンソンのアームは、すごくスムーズでストレスなくアーミングできる。ロック・タイプではないものの、チューニングの狂いも少ないようだ。
さて、そのサウンドだ。いきなりアンプをオーバードライブさせて弾いてみると、シングルコイル・ピックアップながら、そのパワー感に驚かされる。カラっとしてハイの抜けがよく、ハムバッキングかと思わせる力強さがあるのだ。試しにクリーン・トーンで弾いてみると、やはりパワー感があるのがわかる。力強さはありつつ、シングルコイルならではの高域の抜けがクリーン・トーンでもしっかり出てくれる印象だ。
おもしろいのは、5ウェイ・セレクターだ。ネック側から2個目のポジションでリアとフロントが鳴ってくれるのだが、クリーン時にこのポジションにするとフロントのみの時より、リアのパワー感もプラスされ、よりウォームさが感じられた。さらに、4個目の位置でセンター+リアなのだが、それぞれの単体よりも、ややザラつき感がプラスされ、音作りの幅を増やしてくれそうだ。ちなみに、ふたつのトーン・コントロール(どのトーンかはスペックを参照)も、かなりトーン幅が広く変化してくれて、これまたさまざまな音作りを可能にしてくれるだろう。

3点止めのトライ・ポイント・ジョイントを採用。これはボディ背面から2点、ピックガード内のフロント・ピックアップ下で1点の合計3本のねじでネックをジョイントする方式だ

スムーズなアーミングが可能なウィルキンソン製の6点止めシンクロナイズド・トレモロ

▲さまざまな組み合わせで多彩なトーンを作り出せる5ウェイ・ピックアップ・セレクター(詳細は上記のスペック欄を!)

■KG-Violator Deacon Akira Takasaki custom 3Sの詳細■
https://killer.jp/guitar/kg-violator-deacon-akira-takasaki-custom-3s.html


KILLER GUITARS
KG-Violator Deacon
’24 Lace Sensor Custom SSH
¥324,500(税込)

【仕様】
●ボディ
:アッシュ2ピース(3ピース)
●ネック:ハード・メイプル(スリムUシェイプ/トライ・ポイント・ジョイント/セミ・ディープ・インサート)
●指板:ローズ(240R/22フレット)
●スケール:648 mm
●ピックアップ:レース・センサー Hot Gold 6.0(フロント&センター)、レース・センサー Dually Visionary Humbucker(リア)
●コントロール:マスター・ヴォリューム、マスター・トーン、トーン・キャンセル・スイッチ、5ウェイ・スイッチ(1=フロント/2=フロント&ミドル・パラレル/3=ミドル/4=ミドル&リア・タップ/5=リア)
●ベグ:Gotoh SG381-05-MG-T
●ナット:Bone(41mm)
●ブリッジ:ウィルキンソン VS100N
フィニッシュ:オーシャン・グレイ・メタリック(OGM)、サンド・タン・メタリック(STM)、ヴィンテージ・ナチュラル(VNT)

こちらは、レース・センサー・ピックアップを搭載し、今回、試奏させて頂いた3本の中ではヴィジュアルも違うので、方向性の違いを感じる1本だ。
そのレースセンサー・ピックアップだが、このモデルのみリアにハムバッカーを搭載している。さらに、ローズ指板で、ボディもアッシュ材となっている。ここまで違うと、当然トーンも違ってくるだろうと音を出してみると、“おー! 太い!!”と思えるハムバッカーならではのミッド感が気持ちいいサウンドを出してくれる。それでいて、今度は、ちゃんとハイの抜けもプラスしてくれているのだ。このあたりはボディ材の影響なのだろうか。あるいは、先ほどまでのパワフルなシングルコイルを採用した2本と比べてるからだろうなのか、とにかくミッドとハイが気持ちいい1本となっている。
ネックは、3本すべて共通のスリムUシェイプなのだが、ローズ指板の感触なのか、シグネイチャー・モデルとは違う印象を受けた。こちらのほうが握った感触を好むギタリストもいるのではないだろうか。こちらのモデルのみ、ペグはロック・タイプを採用している。2支点シンクロナイズド・トレモロだが、さらにチューニングの狂いが少なく感じた。
ヴォリュームとトーンの間にあるスイッチはトーン・キャンセルだ。トーン・ツマミがどこの位置にあっても、これを使えば瞬時にトーンがフルの状態になってくれる。
ちなみに、クリーン・トーンでも弾いてみたのだが、やはりリアのハムバッキングはハイの抜けが優れていることがわかる。フロントとセンターはシングルコイルなので、もちろんスッキリしつつフロントならではの甘いトーンを奏でてくれた。

このモデルのみ、ペグはロック式を採用している。弦交換もスムーズに行えるので、とても便利だ

トーンをキャンセルしてフル状態にしてくれるスイッチを搭載。ちなみに、こちらの5ウェイ・ピックアップ・セレクターも特殊な仕様になっている(スペック参照)

▲シグネイチャー・モデルと異なり、こちらに2支点のシンクロナイズド・タイプを採用している

■KG-Violator Deacon ’24 Lace SENSOR Custom SSHの詳細■
https://killer.jp/guitar/kg-violator-deacon-24-lace-sensor-custom-ssh.html


KILLER GUITARS
KG-Violator Deacon
’24 KG SSS
¥247,500(税込)

【仕様】
●ボディ
:アルダー2ピース(3ピース)
●ネック:ハード・メイプル(スリムUシェイプ/トライ・ポイント・ジョイント/セミ・ディープ・インサート)
●指板:メイプル(240R/22フレット)
●スケール:648 mm
●ピックアップ:キラー KSS-5.8NC(フロント & センター)、キラー KSS-7.0B(リア)
●コントロール:マスター・ヴォリューム、フロント用ハイパス・ヴォリューム(ノブにはトーンと表記)、ミドル&リア用トーン、5ウェイ・スイッチ(1=フロント/2=フロント&ミドル・パラレル/3=ミドル/4=ミドル&リア・パラレル/5=リア)
●ベグ:Gotoh SG381-05
●ナット:Bone(41mm)
●ブリッジ:ウィルキンソン VG300
●フィニッシュ:シャンパン・ゴールド・メタリック(CGM)、ピンク・ゴールド・メタリック(PGM)、ブラック・メタリック(BKM)

高崎シグネイチャーとは、ブリッジ、ピックアップ、トーンに違いがあるディーコンだ。とは、いえ、いちばんオーソドックスなモデルとも言えるかもしれない。そのトーンは、2トーン仕様と思いきや、中央はトーンではなくフロント・ピックアップのハイパス・ヴォリュームになっているのが特徴だ。
こちらのピックアップは、新規キラー・オリジナルのシングルコイルを搭載。シグネイチャーと同様、パワー感が感じられ、シングルコイルながら太さも兼ね備えているピックアップだ。シグネイチャー・モデルよりは、もう少しスッキリさせたシングルコイルならではのトーンもありつつ、オーバードライブなどの歪み系エフェクトを通した時に素直な太さをプラスしてくれる。また、各帯域の分離がいいので、たとえば6弦をミュートしたプレイをしても、1音1音がゴチャっとせずに粒立ちよく奏でてくれるのも印象的だ。クリーンで弾いてみると、シングルコイルならではの煌びやかさがよく出てくれる。
さて、真ん中のハイパス・ヴォリュームだが、フロント時に絞るとハイが残ったまま全体の音量が下がっていき完全に絞ると消音されるので2ヴォリューム感覚だ。なお、もうひとつのトーンは、センターとリアのトーンとなっている点にも注目。
ネックの握りが、黒よりも多少、薄く感じたが、同じくスリムUシェイプでガッチリとしつつも、弾きやすさも兼ね備えた握りだ。
今回、試奏した3本の中ではいちばん低価格ながら、キラーならではのクオリティを誇っているので、手元に1本、置いておきたいモデルではないだろうか。

トーンと表記されているが、こちらのノブはフロント・ピックアップのハイパス・ヴォリュームとなっている

こちらも、レース・センサー・モデルと同様のウィルキンソン製2支点仕様のシンクロナイズド・トレモロを搭載している

ピックアップをアクティヴに変更した際にも便利な電池格納用の場所をキープしている(3本とも共通)

■KG-Violator Deacon ’24 KG SSSの詳細■
https://killer.jp/guitar/kg-violator-deacon-24-kg-sss.html