モーリーの完全アナログ仕様マルチ・エフェクターに迫る
マルチ・エフェクターといえば、近年はデジタル系が主流。
そんな状況に一石を投じる完全アナログ仕様のマルチ・エフェクターがモーリーから発売された。
モーリーならではのスイッチレス・ワウも搭載し、ディストーション+コーラス+エコーという、このマルチに迫ってみよう!
モーリー
Analog Multi Fx / AFX-1
¥59,400(税込実勢価格)
【仕様】
●エフェクト:ワウ、2 チャンネル・ディストーション、ステレオ・コーラス、ステレオ・ エコー
●コントロール:ワウ用ペダル、ダイアモンド・ディストーション(ハイ/ミッド/ロー/ポスト・ゲイン/ハイ・ゲイン/ポスト・ゲイン)、クリスタル・コーラス(レイト/デプス)、エメラルド・エコー(エコー/リピート/ミックス)
●入出力端子:イン、ステレオ・アウト(モノ・アウトも可能)、FXループ(センド/リターン)
●電源:9v(1.7A/センターマイナス)
●外形寸法:174(幅)×70(高さ)×305(奥行き)mm
●重さ:1,816g
モーリーならではのスイッチレス・ワウも搭載
モーリーといえばスイッチレス・ワウといえるぐらい多くのモデルを発表しているが、もちろんこのAFX-1には2000年代のモーリー・ワウのトーンを再現したペダルが搭載されている。
アナログのマルチ・エフェクターでワウがあるモデルは少ないと思うのだが(そもそもアナログのマルチ・エフェクターが少なくなってる!?)、ここにスイッチレス・ワウを搭載しているのはうれしい限りだ。スイッチレス・ワウは、ペダルを踏み込むことで自動的にワウがオンになり、離すとバイパスする仕組み。モーリーのワウを使うと、ふつうのワウのオン/オフ操作がわずらわしく感じてしまうほど便利で、ほんの1小節だけワウを使う時や、ライヴ時など自分の音がモニターしにくい状況で“ワウがオフになってる!?”という不安が解消される。
▲通常のワウより、踏み心地が奥まであって幅広いのもモーリー・ワウの特徴だ
90年代のモーリー・ディストーションを再現!
ディストーションは、通常モードとハイ・ゲイン・モードの2チャンネル仕様。試奏してみると、ディストーションとハイ・ゲイン・ディストーションの2種類というよりも、通常はディストーション、さらにブーストしたい時にハイ・ゲイン、という使用法が適してると感じられた。
アンプをクリーンにした時のディストーションの歪みぐあいだが、強烈に歪むわけではなくマーシャルでいえばJCM 800ぐらいの歪みという印象だ。アンプ・クリーンでヘヴィ・メタルをやるなら、ハイ・ゲインも常時オンにするといいだろう。
オススメの使い方としては、ディストーションと記載があるもののブースターとしての使い方もできるので、アンプを歪ませてオーバードライブ的な使用も可能だ。ポストとプリ・ゲインのコントロールが絶妙で、その組み合せとEQのぐあいで、かなり幅広いトーンが作れる。
プリ・ゲインを上げていくとハイのチリチリした歪みが増し、ポスト・ゲインを上げていくとロー・ミッドが前に出てくれる印象だ。そして、ソロでハイ・ゲイン・スイッチをオン!
▲アンプを歪ませてブースター的に使うのもオススメ。
これは、その際のオススメ・セッティング!
アナログならではの重厚で暖かみのあるコーラス・サウンド
コーラスを装備しているのもうれしい。完全アナログ・コーラスなので、デジタルのようにキレイにかかるというよりも、アナログならではの暖かみのあるトーンでかかってくれる。
レイト・コントローラーでエフェクト音が揺らぐ速さを決め、デプス・コントローラーでコーラスのかかりを決定する。かかり方としては、エグいタイプではなくナチュラルにかかってくれるのが特徴で、80年代のモーリー・コーラス・サウンドを再現しているとのこと。
クリーン・トーンにかけるのもありだが、上記でアンプを歪ませてといったので、あえて歪んだサウンドにかけるのも重厚になってくれていいと説明しておこう!
▲コーラスとエコーはステレオ出力すると、さらに効果が絶大!
アナログの暖かみが迫ってきます
ヴィンテージ・テイストあふれるエコーがたまらない
最終段に搭載されているのが、エコーだ。リバーブでもディレイでもなくアナログ・エコーというのがそそられる。
最近は、アンプのセンド/リターンに空間系エフェクターを接続するギタリストも多く、そうすると空間系エフェクトの抜けやかかりがキレイになってくれる。このように直列接続で、さらにアンプを歪ませて空間系をかけると、かかりが弱く感じてしまったりするのだが、このエコーはすごい! かなり強烈な存在感を示してくれている。
エコー・コントローラーでディレイ・タイムを決め、リピートで返りの回数を決める際、わりと多めにかければ直列接続でも充分に効果を発揮してくれるのがうれしい。これこそ、アナログならではなのだろうか!? ステレオ出力できるので、ぜひその効果を体感してほしい。
総評! デジタル全盛の時代にアナログで勝負する心意気!
マルチ・エフェクターといえば、今やデジタル全盛の時代だろう。さらにデジタル・マルチ・エフェクターなら、アンプ・シミュレーターやオーディオ・インターフェイスの機能まで搭載しているいたれりつくせりのモデルまで多く発売されている。そんななかで、モーリーが勝負に出た、完全アナログ仕様のマルチ・エフェクター。マルチというか、単純に並べたエフェクターを一体型にしただけのような気もするが、やはりそこはアナログならではのこだわりが随所に感じられた。
とにかく、音作りが手っ取り早くできる。デジタルのようなエフェクト内部に入りエディットしていくような手間もなく、見たままの操作でトーンが変わっていってくれるのだ。
そして、なによりも音がいい! 音の好みは人それぞれだろうが、やっぱり、ここが原点。“単純に並べた”と言ったが、それがいいんです。それでいい部分もいっぱいあるんだと再認識できた。
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