ジャクソンの真髄を極めたソロイストが登場！

1980年代からメタル・シーンを支えてきたジャクソン。
そのジャクソンが満を持して発表するのがアメリカン・シリーズだ。カリフォルニア州のコロナ工場で生産されるこのシリーズ、第1弾はソロイスト！
メタル・ギタリスト大注目のこのモデルをレポートしよう。

Jackson
AMERICAN SERIES SOLOIST SL3
￥440,000（税込）

【仕様】
●ボディ（ウィング）：アルダー
●ネック：3ピース・メイプル、スルーネック
●指板：エボニー、24フレット
●ピックアップ：セイモア・ダンカン製 Flat Strat SSL-6 Single-Coil（フロント）、Flat Strat SSL-6 RWRP Single-Coil（ミドル）、JB TB-4（リア）
●コントロール：ヴォリューム、トーン、5ウェイ・ピックアップ・セレクター
●ブリッジ：フロイド・ローズ 1500シリーズ

80年代ハード・ロック／ヘヴィ・メタルのギターといえば、このソロイストを想像する人も多いだろう。
そのソロイストが、フェンダー社のカリフォルニア工場で生産が始まり、国内でも発売された。1本1本丁寧に仕上げられたとのこと、さらに“新世代のシュレッダーのための最適なモデル”というところに焦点に当てたギターとのことで、注目度も高い。

さっそく試奏してみよう。まず、ネックを握った瞬間に“おっ！　ジャクソン！”とすぐにわかる。他のギターとは違うジャクソンならではの薄目で幅広いネックとわかるのだ。そして、不思議なもので、しっかりと構えて左手でフィンガリングするとその違和感は感じず、とにかくフィンガリングしやすい。
右手でギターを持ち上げた時はネックが薄めと感じたのだが、左手でフィンガリングしてみると、むしろガッチリしたタイプに思える。
ネックの幅、そしてジャンボ・フレットとの組み合わせで、とにかくフィンガリングがスムーズ。ハンマリングやプリングだけで速弾きしたくなるといえばわかりやすいだろうか。これは、間違いなくジャンボ・フレットも一役買っていそうだ。かなりフラット気味の指板も高速なプレイにピッタリ。80年代にギターを弾いてた人にとっては懐かしい感じだと思うが、最近、ギターを始めた人なら、このフィンガリング感に驚かされるのではないだろうか。
そして、弾きやすさは、左手だけではない。ピッキングというか、右手のポジションニングが、ものすごくフィットするのだ。手首から肘にかけての部分をボディに付けるギタリストには、これはかなりピッキングしやすいモデルではないだろうか。スムーズに弦移動ができるので、フィンガリングのしやすさと相まって、まさに“シュレッダーのためのモデル”といえよう。いつもより3倍速く弾けるような気がしてしまう（かも）。
サウンドのほうは、やはりUSA製ということで安心して間違いない。
リアにはダンカンのJBがマウントされており、JBならではのローのブライト感を感じつつ、ハイもスコーンと抜けて気持ちいいドライヴ・トーンが出せる。スルーネック仕様ということで、ミッド・レンジが豊かなのかと思いきや、アルダー・ボディのソロイストらしいトーンが出てくれる。バンド・サウンドに埋もれずに、しっかりとコード感を出してくれそうなサウンドだ。今回、試奏したモデルは、フロイド・ローズのナットのネジやブリッジのサドルを止めるスクリューがステンレス製のようで、もしかしたらそれが高域の抜けにいい影響を与えてるのかもしれない。倍音も、めっちゃ出る。
そのフロイド・ローズのアーム・バーが、差し込むだけのタイプで、これがガタツキがなく、すごくよい！　全部、このタイプにしてほしいと思うぐらいだ（アームのトルクはイモネジで調整する）。
3つのピックアップも、5ウェイのスイッチにより、さまざまな音色を作り出せる。
……と、いいことづくめで書いてきたが、ひとつリクエストするならセンター・ピックアップがないモデルがあると、さらにグッドだと思ってしまった。

▲ペグはゴトー製のロック式。カリフォルニアのコロナ工場製であることを示す“CORONA, CALIFORNIA”の文字が入っている。

▲ソロイストの特徴のひとつ、スルーネック。弾きやすさとサウンドの向上に寄与している

▲薄めで幅広いグリップ感のネック。フィンガリングしやすく、まさにシュレッダー向きといえるフィーリングだ

▲フロイド・ローズのアーム・バーは、差し込むだけのタイプ。ガタツキもなく、すごくいい！

▲今回レポートしているリヴィエラ・ブルー（写真左端）の他、グロス・ブラック、サテン・スライム・グリーン、プラチナム・パールというカラーも用意されている

この楽器は、プレイヤーがいい演奏を目指したくなる原動力を秘めています

試奏レポートに続いては、“アメリカン・シリーズ”について、ジョン・ロマノウスキー氏（ジャクソンブランド・マネジメント責任者）のインタヴューをお届けしよう。

——新たにアメリカン・シリーズをスタートさせた理由を教えてください。
ジョン：ジャクソンは南カリフォルニア発祥のブランドです。現在の音楽界のトレンドを、この歴史ある素晴らしいブランドを南カリフォルニアのルーツに戻し、ジャクソンでもっとも人気のあるソロイストの量産ラインを開発する時期が来たと思ったんです。
——開発にあたって、もっとも重要視したところはどこですか？
ジョン：メタル・ミュージックに対するオールドスクールな感覚を持ちながらも、現代的なアティテュードを体現した楽器を作りたいと考えていましたね。そのためには、新しいシリーズをカリフォルニアで作ることが重要なポイントだったのです。
また、ギターのルックスや機能、サウンドを可能な限り優れたものにしたいと考えました。そしてもちろん、“FAST AS F***!!!”というコピーが示す通り、究極の速弾きにも対応することも必要でした。
——ジャクソンにはUSAセレクトというシリーズがすでにラインナップしています。このシリーズとアメリカン・シリーズの違いは何ですか？
ジョン：USAセレクト・シリーズは受注生産モデルで、注文を受けてから1本ずつ作ります。その結果、製造工程は大きく異なります。オートメーションは最小限に抑えられ、手作業がひじょうに多くなっています。
対して、アメリカン・シリーズは、量産モデルで毎日の製造数を管理できます。また製造工程のオートメーション化により、魅力的な価格を実現しました。
——アメリカン・シリーズの第1弾として、ソロイストが選ばれた理由は？
ジョン：私達の調査によると、ソロイストこそがジャクソンの本質を体現したモデルとして認知されていることが明らかになりました。
ソロイストはストラトキャスターのような親しみやすいシェイプを現代的に解釈したもので、幅広いプレイヤーに受け入れられています。また、ソロイストは私達のベストセラーでもありますし、このシェイプは伝統的な楽器を彷彿とさせながら、大胆でモダンな美しさを備えています。
この楽器はまた、プレイヤーがよりいい演奏を目指したくなる原動力を秘めており、無限の可能性を持って演奏に臨むことを可能にしてくれます。
——新しいソロイストは、どういったタイプ、スタイルのギタリストにオススメでしょうか？
ジョン：このギターはすべてのプレイヤーにオススメしたいです。その中でも、高度なプレイ・スキルを重視する、さまざまなジャンルの頂点を目指すプレイヤーこそが、このギターに引き寄せられることになると思います。
——今後、アメリカン・シリーズにはRhoadsやKelly、KING Vなどのモデルも投入されますか？　また、ジャクソン全体として、今後のヴィジョンを教えてください。
ジョン：ソロイストは、より大規模なシリーズ展開の先駆けとなるもので、今後さらに多くのモデルが登場する予定です。私達の目標は、ジャクソンを、他の追随を許さないコンテンポラリー・ギターの業界標準ブランドとして確立することです。

Yas Nomuraが語るアメリカン・シリーズ・ソロイスト

ロサンゼルスを拠点に活動しているギタリスト／ベーシストのYas Nomura。
プログレッシヴ・メタルのザ・レゾナンス・プロジェクトなどで活躍する彼に、ソロイストの印象を聞いてみた！

Yas Nomura：じつは、半年前まではジャクソンのギターを弾いたことがなかったんです。今回、新しいアメリカン・シリーズ・ソロイストの試奏の話をいただき、それで初めて弾きました。
僕にとってジャクソンとは、80年代からずっとロックとメタルのシュレッダー向けのギター・メーカーですね。僕はマーティ・フリードマンの大ファンなので、ジャクソンと聞くと彼を思い出しますし、ジェフ・ルーミス、ミーシャ・マンソー、クリス・ブロデリックなどもそうですね！
実際に弾いてみたら、音も弾き心地も最高です！
正直なところ、ロック式トレモロはギターからトーンを奪ってしまうから好きじゃなかったんです。だけど、このギターはそんなことがないんです。ネックの感触も気に入っています。
“スピード・ネック・シェイプ“という独自のネックになっていて、極端にワイドなストレッチ・プレイも、余計なテンションやストレスを感じることなく弾けますね。スルーネックなので、ハイ・ポジションもとても弾きやすいです。チョーキングやヴィブラートもひじょうに快適だし、全体的にとてもよくできたギターだと思います！
すべてのロックとメタル系のギタリストにおすすめです！　とくにシュレッダーに！