メイド・イン・ジャパンのCHARVELが誕生!
メタル・ギターの雄として名高いシャーベル。そのシャーベルから日本製モデルが6タイプ登場した。シャーベルらしいサウンドと“メイド・イン・ジャパン”ならではの丁寧な仕上がりで注目のニュー・モデル達。その魅力を徹底的に掘り下げてみた!
※WeROCK 074の掲載記事より。
“MJシリーズ”のポイント
シャーベルのラインナップに加わった、MJことMade in Japanのラインナップ。その開発の経緯や推しポイントを、株式会社神田商会の千坂氏が教えてくれた。
「シャーベルにはU.S.A.カスタムショップ・モデルやU.S.A.セレクトというハイ・クオリティなシリーズがあるんですが、生産本数が多くなく輸入の時期が読めないんです。そして、どうしても高価なものになってしまう。そこで、ハイ・クオリティで、安定して作れる、かつ価格も抑えたシリーズを日本製で始めてみないかという提案を、2017年ぐらいからシャーベル側にしていたんですね。
実際の開発では、ボディのグラデーションなどで苦労しましたね。苦労しただけあって、今回の製品はどれもきれいに仕上がっています。サウンドや弾き心地の面では、作っている工場が経験豊かなこともあって、まったく問題なかったです。
ラインナップとしては、シャーベルの基本中の基本であるディンキーやソーカル、サン・ディマスとなっていますが、サン・ディマスはピックアップや指板材など、ヴァリエーションを持たせています。今後、ラインナップが増える可能性はありますが、まずは日本製のシャーベルを広げていこうと。材料も厳選されたものを使っていますし、仕上げも丁寧だし、各パーツもこだわっています。
実際に持っていただければ、その違いはすぐにわかってもらえると思います」。
シャーベル MJ So-Cal Style 1 HSS FR M
¥オープン
〈仕様〉 ●ボディ:アルダー ●ネック:メイプル、ボルト・オン ●指板:メイプル、24フレット ●ピックアップ:セイモア・ダンカン カスタム・フラットSSL-6(フロント/センター)、セイモア・ダンカン JB TB-4(リア) ●コントロール:ヴォリューム、ノーロード・トーン、5ウェイ・ピックアップ・セレクター ●ブリッジ:ゴトー GE1996Tシリーズ・ダブル・ロッキング・トレモロ ●カラー:スノー・ホワイト(写真)、グロス・ブラック
So-Calとは?
シャーベル・ブランド生誕地である南カルフォルニア(South California)の略称である“So-Cal”(ソーカル)をモデル名に冠したシリーズ。
大きな特徴は、ピックガードが付けられていることと、フロイド・ローズのダブル・ロッキング・トレモロを搭載していることだ。
■MJ So-Cal Style 1 HSS FR Mが通販で購入可能■
○神田商会オンライン・ストア
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr198/gr546/00045-00106289
※スノー・ホワイト
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr198/gr546/00045-00106290
※グロス・ブラック
○御茶の水楽器センター
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00045-00106289.html
※スノー・ホワイト
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00045-00106290.html
※グロス・ブラック
シャーベルといえばLAメタル! そう、アメリカンなイメージが強いメーカーなわけだが、そのシャーベル・ブランドのギターの日本製が登場! 日本のギターを製作する技術は世界のトップと言っても過言ではないのだが、シャーベルと日本の技術がタッグを組んで誕生したのが、今回のモデルだ。
フィニッシュ違いを入れると全8モデル。その中から、6モデルを試奏してみた(残りの2モデルは色違いなので、全モデル試奏と同じ!)。
まずは、いかにもシャーベルらしいMJ So-Cal(ソーカル) Style 1を弾いてみよう。その前に、ひとつ。試奏前に全ギターを出して並べてみたのだが、その時点で“ぜったい、いいギターだ”と断言できるオーラを放っていた。今回、資料には価格がなかったため、価格を知らないというなんの先入観もない試奏だと言っておこう。話を戻して、MJ So-Cal Style 1。そのヴィジュアルから見てもシャーベルそのものなわけだが、持ってみると、やはりしっかりとした作りだというのがわかる。現在では欧米はもちろんのこと、韓国製や中国製、さらにはインドネシアなど、ギターを作っている工場は多岐にわたる。数々の試奏をしてきた編集部だが、やはり中でも国産ギターのクオリティは群を抜いており、ハズした記憶があまりない。このモデルも、手にした瞬間に、いいギターだとわかる。さあ、アンプをオーバードライブさせて、大音量で弾いてみよう!
キター! バリバリに、いい音がします。こちらのモデルのボディはアルダーで、リア・ピックアップはダンカンのJB。その組み合わせを知ってる人なら、そのとおりのトーンです。メイプル指板を使っていることとルックス的に、“わりとドンシャリで、ハイが出る感じ”と思っていたが、ミッドがしっかり出て、全体的にフラットでヌケもいいサウンドだ。倍音も豊か! いや、もう一度、バッキング的なフレーズを弾いてみると、フラットというよりもミッドが出てくれて太さを感じる。さらに、弾き手のイメージしてるサウンドがそのまま出てくれるようなレスポンスも持っている。さすが、国産プライドだ! 指板は、シャーベルやジャクソンの十八番であるコンパウンド・ラジアスを採用。これは、ハイ・ポジションに行くにしたがって、指板のRがフラットになっていく仕様なわけだが、まったく違和感のない弾き心地。太く高さのあるフレットと相まって、フィンガリングがしやすく速弾きをしても軽いタッチでついてきてくれる。こういった部分も、ネックの作りがいいからなんだろうなと感心してしまう。トレモロ・ユニットには、日本のゴトー製のロック式モデルを採用。アームは、ワンタッチで装着できるタイプで、写真を見てもらうとわかるのだが、トレモロ・ユニットもしっかりとした作りだ。サドルの作りで音も変わるので、このあたりもいい音を出してくれる要因なのだろう。
▲ブリッジはゴトー製のGE1996Tダブル・ロッキング・トレモロ。アームを差し込むだけで使える
▲今回登場するモデルは、すべてノーロード・トーン・コントロールを搭載。これは、トーン・ツマミが1掛絡ではふつうに働き、10にするとトーン回路がカットされるというもの
シャーベル MJ DK24 HSH 2PT E MAH
¥オープン
〈仕様〉 ●ボディ:フィギュアード・ウォルナット・トップ+マホガニー・バック ●ネック:ウェンジ、ボルト・オン ●指板:ストリーキー・エボニー、24フレット ●ピックアップ:セイモア・ダンカン アルニコIIプロ(フロント)、セイモア・ダンカン カスタム・フラットSSL-6(センター)、セイモア・ダンカン カスタム・フル・シュレッドSH-10B(リア) ●コントロール:ヴォリューム、ノーロード・トーン、5ウェイ・ピックアップ・セレクター ●ブリッジ:ゴトー カスタム510トレモロ・ブリッジ ●カラー:ナチュラル
Dinkyとは?
シャーベルを代表するモデルであるディンキー。同ブランドの最初期からラインナップしているギターで、弾きやすさを考慮し一般的なストラト・シェイプをわずかにこぶりにしたボディ、ボルト・オン・ジョイントなどが特徴。現在、さまざまなヴァリエーションが発売されていて、ウォーレン・デ・マルティーニ(ラット)やサッチェル(スティール・パンサー)のシグネイチャー・モデルもディンキーをもとにしている。
■MJ DK24 HSH 2PT E MAHが通販で購入可能■
○神田商会オンライン・ストア
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr198/gr546/00045-00106291
○御茶の水楽器センター
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00045-00106291.html
次は、方向性の違うMJ DK24にいってみよう。いわゆるディンキーだ。
こちら、ロック式ではないゴトー製のトレモロを搭載し、ボディ材がマホガニー(トップはフィギュアード・ウォルナット)で指板はエボニーとなっている。見かけも違うが、音も違っている。先ほどのMJ So-Cal Style 1よりも、ミッド・ハイあたりの出方が異なる。言葉で説明するのは難しいのだが、MJ So-Cal Style 1よりもミッドを抑えつつ1〜2kHzあたりを上げた感じだ。これは、ピックアップが同じダンカンでも違う種類を採用しているのが大きいのかもしれない。ネックの弾き心地などは同じなのだが、このモデルも塗装のないナチュラルなオイル・フィニッシュとなっていて左手の馴染みがいい。このネック、好きです。
他のモデルとのいちばんの違いであるトレモロ・ユニットだが、このモデルのみペグがロック式になっていて、テンション・ピンもくふうされており、アーミングがスムーズでチューニングの狂いも少ない。アップも可能で、ヴィブラート的に使うなら、ロック式よりこちらのほうがスムーズにできると思うギタリストもいることだろう。
▲ペグはゴトー製のダイキャスト・ロック・ペグを採用。チューニングの狂いを抑えてくれる
▲ボディにはザグリが入れられており、アーム・アップも可能となっている。なめらかなアーミングが可能だ。
シャーベル MJ San Dimas Style 1 HSS FR E
¥オープン
〈仕様〉 ●ボディ:アルダー ●ネック:メイプル、ボルト・オン ●指板:エボニー、24フレット ●ピックアップ:セイモア・ダンカン カスタム・フラットSSL-6(フロント/センター)、セイモア・ダンカン JB TB-4(リア) ●コントロール:ヴォリューム、ノーロード・トーン、5ウェイ・ピックアップ・セレクター ●ブリッジ:ゴトー GE1996Tシリーズ・ダブル・ロッキング・トレモロ ●カラー:サテン・ブラック
■MJ San Dimas Style 1 HSS FR Eが通販で購入可能■
○神田商会オンライン・ストア
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr198/gr546/00045-00106284
○御茶の水楽器センター
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00045-00106284.html
シャーベル MJ San Dimas Style 1 HSS FR M
¥オープン
〈仕様〉 ●ボディ:アルダー ●ネック:メイプル、ボルト・オン ●指板:メイプル、24フレット ●ピックアップ:セイモア・ダンカン カスタム・フラットSSL-6(フロント/センター)、セイモア・ダンカン JB TB-4(リア) ●コントロール:ヴォリューム、ノーロード・トーン、5ウェイ・ピックアップ・セレクター ●ブリッジ:ゴトー GE1996Tシリーズ・ダブル・ロッキング・トレモロ ●カラー:メタリック・レッド
■MJ San Dimas Style 1 HSS FR Mが通販で購入可能■
○神田商会オンライン・ストア
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr198/gr546
○御茶の水楽器センター
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00045-00106285.html
San Dimasとは?
カルフォルニアにある年、サン・ディマスをその名にしたモデル。So-Calと同じく、80年代初期から西海岸のギタリストを中心に支持を集め、現在までアップ・デートを繰り返してきたモデルだ。また、海外製だが、テレキャスター・シェイプをもとにしたStyle 2と呼ばれるモデルもラインナップしている。
続いては、So-Calからピックガードを取ったようなモデル、San Dimas(サン・ディマス)だ。
サン・ディマスには、ピックアップがS-S-H配列のモデルとH-S-H配列のモデルがあり、それぞれに指板の違いのモデルがラインナップしている。
まずは、S-S-H配列のモデルから、So-Calとは違うエボニー指板のモデルを弾いてみよう。他の違いとしては、トレモロ・ユニットがゴールドになっている。じつは、トレモロ・ユニットのフィニッシュで音が変わると言われており、そのあたりもレポートしようと思って弾いてみると……So-Calと同じような方向性のトーンで、“ややミッドの出方が違う? いや、どうだろう?”ぐらいのサウンドだった。エボニー指板になることで、多少、弾き心地は違うが、トーンの方向性は同じだ。
続いて、メイプル指板モデルを弾いてみると、よりSo-Calに近いトーンという印象だ。こちらのトレモロはクローム・フィニッシュなのだが、ん? もしかしたら、メイプル指板のモデルのほうがミドルが出てくれてるような印象を受ける。これが、メイプル指板のためなのか、クローム・フィニッシュのトレモロの影響なのかはわからないが、多少、ミドルが出てくれるのがメイプル指板のモデルだった。
▲セイモア・ダンカンのSSL-6をフロントとセンターに、リアにJB TB-4をマウントしている
▲今回試奏した全モデルともネック・エンド部にロッドを調整するホイール・ナットを搭載している
シャーベル MJ San Dimas Style 1 HSH FR M QM
¥オープン
〈仕様〉 ●ボディ:アルダー ●ネック:キルテッド・メイプル・トップ+アルダー、ボルト・オン ●ネック:メイプル、ボルト・オン ●指板:メイプル、24フレット ●ピックアップ:セイモア・ダンカン ジャズSH-2n(フロント)、セイモア・ダンカン カスタム・フラットSSL-6(センター)、セイモア・ダンカン JB TB-4(リア) ●コントロール:ヴォリューム、ノーロード・トーン、5ウェイ・ピックアップ・セレクター ●ブリッジ:ゴトー GE1996Tシリーズ・ダブル・ロッキング・トレモロ ●カラー:カリビアン・バースト
■MJ San Dimas Style 1 HSH FR M QMが通販で購入可能■
○神田商会オンライン・ストア
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr198/gr546/00045-00106288
○御茶の水楽器センター
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00045-00106288.html
シャーベル MJ San Dimas Style 1 HSH FR PF QM
¥オープン
〈仕様〉 ●ボディ:キルテッド・メイプル・トップ+アルダー・バック ●ネック:メイプル、ボルト・オン ●指板:パーフェロー、24フレット ●ピックアップ:セイモア・ダンカン ジャズ SH-2n(フロント)、セイモア・ダンカン カスタム・フラットSSL-6(センター)、セイモア・ダンカン JB TB-4(リア) ●コントロール:ヴォリューム、ノーロード・トーン、5ウェイ・ピックアップ・セレクター ●ブリッジ:ゴトー GE1996Tシリーズ・ダブル・ロッキング・トレモロ ●カラー:トランスペアレント・グリーン(写真)、ミッドナイト・グロー
■MJ San Dimas Style 1 HSH FR PF QMが通販で購入可能■
○神田商会オンライン・ストア
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr198/gr546/00045-00106286
※トランスペアレント・グリーン
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr198/gr546/00045-00106287
※ミッドナイト・グロー
○御茶の水楽器センター
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00045-00106286.html
※トランスペアレント・グリーン
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00045-00106287.html
※ミッドナイト・グロー
続いて、ボディがアルダー(+キルテッド・メイプル・トップ)で、ピックアップ・レイアウトがHSHというサン・ディマスにいってみよう。クロームのトレモロ、そしてメイプル指板ということで、ここでの都市伝説的にいうならば、最初に試奏したSo-Calに近いはずだ。
弾いてみると、ビックリ! もしかしたら、このモデルが、いちばん元気あるかも!? と思ってしまった。ところが、よく見ると、リア・ピックアップの高さがSo-Calよりも弦に近くセッティングされており、これが要因かと思われる……キルテッド・メイプル・トップだからだとは思わないのだが……。トーン的にはSo-Calと同じ方向性で、ミッドがよく出てくれる。
パーフェロー指板モデルだが、こちらのトレモロもクローム・フィニッシュのものが採用されている。音を出してみると、判明しました。1本目に試奏したSo-Calと比べるとハイの出方が、やや違う。やはり、指板の違いの影響で、エボニーやパーフェローのほうがやや高域を抑えてくれていて、メイプルのほうがハイが出ているようだ。また、2本目に試奏したディンキーや3本目に試奏したサン・ディマスにはゴールド・フィニッシュのトレモロが付いているが、そのフィニッシュにより、また音が違うということが実証されたような気がする。
さて、これまで説明していなかったピックアップ配列とセレクターにも特徴があるので、ここで述べておこう。ピックアップ・セレクターは、5ウェイを採用しており、フロントとリアは、そのピックアップの性能が、よく発揮されており、おもしろいのはハーフ・ポジションの音だ。とくにハーフ・トーンの位置では、クリーン・トーンで弾くとアコースティックな感じになりおもしろい。オーバードライブ・サウンドだけではなく、ぜひ試してほしい。
という6本を試奏したのだが、かなり音に関して突き詰めたレポートになっていると思う。これは、間違いなく、ギター本体の完成度が高いから、弾き心地は安心でき、トーンに関してのことが多くなったのだ。
冒頭で、値段を知らないと書いたが、弾いた感じの印象だと30〜40万ぐらいのギターかと思われる。日本産がいいのか、シャーベルがいいのか……他のシャーベルと弾き比べたい。そんな気持ちになるモデルだった。
▲ハイ・ポジションでの演奏性を高めるため、なめらか、かつ大きなカットが入ったネック・ジョイント部
▲サン・ディマスのH-S-H配列モデルは、ボディ・トップにキルテッド・メイプルを採用。高級感を漂わせる
問:株式会社神田商会
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr198/gr546