7弦を制する者はギターを制する!?〜SAKI×Killer編
先日、公開したK-A-Zによる7弦ギターの試奏レポートに続いては、メアリーズ・ブラッドのSAKIによるキラーの最新7弦モデルの試奏記をお送りしよう!
※WeROCK 069の掲載記事より。
キラー KG-Fascist Vice Seven ¥256,000+税
〈仕様〉 ●ボディ:アルダー ●ネック:ハード・メイプル、セミ・ディープ・インサート ●指板:エボニー ●ピックアップ:セイモア・ダンカン Sentinent-7-pmt(フロント)、セイモア・ダンカン Nazgul-7-pmt(リア) ●コントロール:ヴォリューム、3ウェイ・ピックアップ・セレクター、ダイレクト・スイッチ ●ブリッジ:フロイド・ローズ・オリジナル7ST
▲ファシスト・ヴァイスとスペルバインドに共通して搭載されているダイレクト・スイッチ
▲ケーブル・ジャックは、演奏性を考えてボディ・サイドに設けられている
キラー KG-Spellbind Seven ¥275,000+税
〈仕様〉 ●ボディ:マホガニー ●ネック:ハード・メイプル、セミ・ディープ・インサート ●指板:エボニー ●ピックアップ:セイモア・ダンカン SH-1n-7(フロント)、ESP S-11(センター)、セイモア・ダンカン SH-5-7(リア) ●コントロール:ヴォリューム、5ウェイ・ピックアップ・セレクター、ダイレクト・スイッチ ●ブリッジ:フロイド・ローズ・オリジナル7ST
▲ダイレクト・スイッチをオンにすると、回路がキャンセルされダイレクト音を出力できる
▲深めのカッタウェイで、ハイ・ポジションも弾きやすい
SAKI:アルバム『FATE』(16年10月リリース)の時、BABYMETALの楽曲なども手掛けたゆよゆっぺさんに曲を書いてもらったんですが、それが7弦ギターを使う曲だったんです。それでキラーさんから7弦のプロトタイプを借りたのが最初でしたね。そのプロトタイプは、ボディはKG-Spellbind(以下、スペルバインド)のようなデザインで、ヘッドのペグ配列は5:2というもので。それをしばらく使わせてもらっていたんですが、今回、7弦の新製品が出るということで、KG-Fascist Vice(以下、ファシスト・ヴァイス)も自分の仕様で作ってもらったんです。
最初手にする時は、弦が1本増えてネックが太くなっているし、どうしても握り込みづらさは感じると思います。でも、新しく出るファシスト・ヴァイスもスペルバインドも、一般的な7弦ギターよりネックが細く感じました。握り込みやすいですよ。
サウンドについては、それぞれ特徴がありますね。
まず、KG-Fascist Vice Sevenですが、パワーを感じます。リア・ピックアップにセイモア・ダンカンのナズグル、フロントにセンティエントを積んでいるんですが、わりとパワーのあるピックアップですよね。で、パワーがありつつも、歪ませても音が潰れないのがいいですね。“7弦”の音感をしっかりと感じることができます。あとは、アルダー・ボディらしい、ふくよかさもありますね。ミッドもしっかり出てくれます。
あと、自分のギターもそうなんですけど、今回試奏したファシスト・ヴァイスも手にした時から鳴りがいいんです。そして、製品のほうはネック裏も塗装されているから、手触りも滑りもいい。そこは好みがわかれるところだし、私自身のモデルのほうはツヤ消しのクリア・コートを塗ってます。
KG-Spellbind Sevenは、まさにルーク(篁)さん仕様って感じがします。ファシスト・ヴァイスと、けっこう違いますね。左手の弾き心地は、同じエボニー指板だし、ネック裏も塗装されているのでそんなに変わらないんですけど、音のキャラクターがまったく違いますね。
スペルバインドは、マホガニー・ボディにメイプル・ネックということもあって、コードを弾いた時にきらびやかさを感じます。ファシスト・ヴァイスはリフ、スペルバインドはコード弾きに向いている気がする。ピックアップは、SH-5とか、わりと一般的に使われているものですね。トーンの効きもいいし、何しろピックアップが3つ付いていて、セレクターは5ウェイ、それにダイレクト・スイッチと、音作りの幅はかなり広いです。音域のバランスも上から下までいい感じです。鳴りもいいです。ファシスト・ヴァイスもそうですけど、セミ・ディープ・インサートっていうジョイント方式がいいんだと思います。
一般的に7弦ギターは低音でズクズクとリフを弾くイメージが多いじゃないですか。でも、例えばルークさんがCANTAで使っているように、コード・ストロークの中で7弦の音が入っている。そういう使い方もオススメです。いい意味でメタルに特化していないギターだと思います。
パッと見た時の印象だとファシスト・ヴァイスはオールラウンドに使えて、スペルバインドのほうがロックに特化している印象がありますけど、音のキャラクターは逆だと思います。ヴァイスはトーン・コントロールもなくて、潔いというかメタルなギターという感じで、スペルバインドはもちろんトーンを全開にしてリア・ピックアップで刻みまくってもいいし、ヴォリュームを絞ると大人のトーンも出せます。だから、スペルバインドのほうは7弦にも慣れてきて、音作りの幅を広げていきたいというギタリストにもオススメかなという気がします。ボディが身体が小さい女性ギタリストにとっては大きく感じられるけど、バランスも悪くないし、弾きにくくはないです。
他社の7弦ギターで、スペルバインドのようなサウンドのモデルってなかなかないと思うので、個性的な7弦を探しているギタリストにもいいと思う。今回、スペルバインドを弾いてみて、3ピックアップのギターもいいなあと感じましたし、今後試していきたいですね。
SAKIの愛機
キラー Fascist Vice
SAKI:新製品として、ファシスト・ヴァイスの7弦が出るということで、自分の仕様でも作ってもらったのがこの“和柄ちゃん”です。ふだんからファシスト・ヴァイスを使っていて、その音が好きなので、アルダー・ボディにメイプル・ネックとかの基本的なスペックは揃えてもらいました。あとは、リア・ピックアップが高出力のほうがいいだろうということで、セイモア・ダンカンのインヴェイダーにしてもらっています。そして、ギャラクシー・ブラックという、ラメの入った黒いフィニッシュに“錦”を感じたので、和柄がいいなと思い桜をデザインしています。あとで、桜のインレイを入れるため、今はインレイが入る位置に桜のシールを貼っている状態ですね。
ルーク篁’s voice〜どちらにもキラキラした印象を受けた
ソロ・ライヴ用に7弦が欲しいとお願いしたところ、ファシスト・ヴァイスなら早めにできるということで使ってみたよ。
6弦よりはヘッド側に重みを感じたけど、操作性に問題はまったく感じなかったし、音はきらきらが多めで若い印象かな。スペルバインドは、ヴァイスよりミッド寄り。通常のマホガニーの6弦よりはきらきらが多めで、やはり若い印象を受けたね。
7弦ギターには、よりヘヴィな音を求めたつもりだったけど、実際に曲を作ってみるとあまり関係ないことに気づいたよ。
低音を強調するというより、使える音が少し増えたという印象だね。アンプなどでの音作りのポイントも6弦ととくに変わらないかな。ヴァイスもスペルバインドも、ギタリストのタイプを選ばないスタンダードになってほしいね。
問:キラーギターズ株式会社
https://www.killer.jp/
◎SAKI/サキ。メアリーズ・ブラッドとしてはもちろん、イヴェント“WORLD GUITAR GIRLS COLLECTION”での活躍、フレデリク・ルクレール(ドラゴンフォース)とのユニットの始動など、多方面で活躍。メアリーズ・ブラッドは新作の制作準備に入りつつ、“NAONのYAON 2019”などのライヴ出演や6月からの全国ツアーも発表されている。
メアリーズ・ブラッド公式サイト
https://marysblood.futureartist.net/
アルバム
『Revenant』●メアリーズ・ブラッド
徳間ジャパン TKCA-74634 ¥3,000(税込)