マーシャル最新アンプは、JCM800と1959を20wで完全再現!!

アンプの王者、マーシャルからフル・バルブの20wのアンプが発表された。
しかも、名機と呼ばれるJCM800と1959を小型化したと言えるアンプだという。
デジタル・アンプの波が押し寄せる今だからこそリリースされた完全アナログの2シリーズに迫ってみた!
※WeROCK 069の巻頭記事より。

 

JCM800を彷彿とさせるスタジオ・クラシック・シリーズ

マーシャル Studio Classic SC20H ¥140,000+税

〈仕様〉 ●出力:20w/5w  ●真空管:ECC83(プリ管)×3、EL34(パワー管)×2 ●チャンネル数:1 ●コントロール:プリアンプ・ヴォリューム、マスター・ヴォリューム、トレブル、ミドル、ベース、プレゼンス ●入出力端子:ハイ・インプット、ロー・インプット、エフェクト・センド/リターン、DI出力、スピーカー・アウト×5(16Ω×1/8Ω×2/4Ω×2) ●外形寸法:510(幅)×240(高さ)×240(奥行き)mm ●重量:9.4kg

マーシャル Studio Classic SC20C ¥160,000+税

〈仕様〉 ●出力:20w/5w  ●真空管:ECC83(プリ管)×3、EL34(パワー管)×2 ●チャンネル数:1 ●コントロール:プリアンプ・ヴォリューム、マスター・ヴォリューム、トレブル、ミドル、ベース、プレゼンス ●入出力端子:ハイ・インプット、ロー・インプット、エフェクト・センド/リターン、DI出力、スピーカー・アウト×5(16Ω×1/8Ω×2/4Ω×2) ●外形寸法:510(幅)×460(高さ)×255(奥行き)mm ●重量:9.4kg

 

 

WeROCK 068でフル・バルブによるDSLのリニューアル・シリーズを紹介し、アナログ・アンプならではの人間味のある音に感動したが、続けて注目のシリーズが発表された。
それが、今回紹介する、19年1月のNAMM SHOWで発表された20wクラスのニュー・モデルだ。写真を見てもらえばわかるとおり、名機であるJCM800と1959を彷彿とさせるモデルとなっていて、それぞれ、ヘッドとコンボに加え、マッチング・デザインのキャビネットとの合計4種類が登場した

これは、マーシャル・ファンはもちろん、あの時代のハード・ロック・ギタリストにはたまらない新製品といえる。この2シリーズのレポートをお届けしよう。

まずは800を彷彿とさせるSCシリーズ
あの800のサウンドが、20wで蘇っている。近年のデジタル・アンプでシミュレーションしても、ぜったいに出ない音がある。80年代の明るさや粒立ちのよいトーン、ピッキングのダイレクト感、すべてが当時を思い出させてくれる。
オーバードライブなどのエフェクターでブーストしてみると、最高すぎるドライブ感を再現できる。また、20wでもかなりの音量だ。大音量で鳴らさない時は最近のマーシャルではすっかりおなじみとなった小出力モードで5wにしてみよう。
プリアンプを8、マスターを7
にした時の気持ちよさは、デジタル・アンプではぜったいにありえないものだ。もう一度、20wに上げてみると音量が4倍になるというより、ローが増し音圧がアップしてることに気づく。ちょっとしたライヴなら、これで充分ではないだろうか。

 

1959的なスタジオ・ヴィンテージ・シリーズ

 

マーシャル Studio Vintage SV20H ¥140,000+税

〈仕様〉 ●出力:20w/5w  ●真空管:ECC83(プリ管)×3、EL34(パワー管)×2 ●チャンネル:1=ハイ・トレブル/2=ノーマル ●コントロール:ラウドネス1、ラウドネス2、トレブル、ミドル、ベース、プレゼンス ●入出力端子:ハイ・トレブル高感度入力、ハイ・トレブル低感度入力、ノーマル高感度入力、ノーマル低感度入力、エフェクト・センド/リターン、DI出力、スピーカー・アウト×5(16Ω×1/8Ω×2/4Ω×2) ●外形寸法:500(幅)×240(高さ)×230(奥行き)mm ●重量:9.25kg

マーシャル Studio Vintage SV20C ¥160,000+税

〈仕様〉 ●出力:20w/5w  ●真空管:ECC83(プリ管)×3、EL34(パワー管)×2 ●チャンネル:1=ハイ・トレブル/2=ノーマル ●コントロール:ラウドネス1、ラウドネス2、トレブル、ミドル、ベース、プレゼンス ●入出力端子:ハイ・トレブル高感度入力、ハイ・トレブル低感度入力、ノーマル高感度入力、ノーマル低感度入力、エフェクト・センド/リターン、DI出力、スピーカー・アウト×5(16Ω×1/8Ω×2/4Ω×2) ●スピーカー:セレッションvタイプ×1、10インチ ●外形寸法:500(幅)×460(高さ)×255(奥行き)mm ●重量:15.85kg

 

続いて、1959的なSVシリーズだ。
SCよりもツブの粗い歪みで、中域がドーンと来る。4インプットならではのリンクでのサウンドだが、ラウドネス
2のツマミでは低域が調整でき、ラウドネス1のツマミではハイが変わってくる。オススメは、ラウドネス2を下げ目、1を上げ目にしたセッティングだろうか。基本的な歪みはヴィンテージ・ライクなので、こちらもオーバードライブと組み合わせると最高すぎるトーンでメタリックなリフにも対応してくれる。SCシリーズとともに、弱くピッキングすればクランチ程度の歪みになってくれるのは、やはりアナログならでは。
ちなみに、スタック(ヘッド+キャビ)で弾くと、コンボとはまた違うトーンが感じられる。SC20H+SC212のコンビなんて、まんま800といえる。
じつは、今回、本物のJCM800と弾き比べてみたんだが、800でいちばん気持ちいいのがマスター・ヴォリュームを7ぐらいにした時のトーン。ただ、さすがに大音量すぎるので、なかなかそこまで上げられるシチュエーションがないのが現実だが、このSC20Hを使えば、そのトーンをそのままに音量を下げて実現できる。それは、SV20Hでも同様で、これはレコーディングでも充分に使えてしまう!
これを弾いてしまうと、アンプの本質、アンプ本来の使用法を思い出させてくれ、便利なデジタル・アンプに戻れなくなる。そして、こう言いたい。

デジタル・アンプで慣れた者どもよ、このアンプを弾けてこそ、本当のギタリストだ。

 

▲真空管には、どのモデルもプリ管としてECC83を、パワー管としてEL34を搭載している

 

▲SCシリーズもSVシリーズも、スタンバイ・スイッチが出力切り替えスイッチを兼用している。5wにしてもトーンはそのままだ

▲SVシリーズは1959を彷彿とさせる4インプット。リンク機能を活用したくなる

▲SC20H+SC212(左側)とJCM800+1960キャビネットを並べてみた。ちょうど横に半分ぐらいのサイズだが、その音色は本家そのもの!

▲SC20C(左側)とSV20Cのリア側。それぞれ密閉型ではなくハーフ・オープンになっているが、空洞の位置によって音の感じが違っているのがおもしろい

 

▲ヘッド用キャビネット。上段がStudio Classic SC212(¥95,000+税)、下段がStudio Classic SC112(¥70,000+税)。ともにセレッションのVタイプ・スピーカー(12インチ)を搭載、SC212は2発、SC112は1発内蔵している。

▲こちらもヘッド用キャビネットだ。上段がStudio Vintage SV212(¥95,000+税)、下段がStudio Vintage SV112(¥70,000+税)。同じくセレッションのVタイプ・スピーカー(12インチ)を搭載し、SC212は2発、SC112は1発内蔵。

問:株式会社ヤマハミュージックジャパン
http://www.marshallamps.jp/products/amplifiers/studio/