ジャクソン・ギターが放つ7弦ギターの理想型
2月14日発売号のWeROCK 057の巻頭試奏レポートで紹介したジャクソンのSoloist Archtop SLAT7 MS。
その記事をこのブログでも公開します!
まず、写真を見てもらえればわかるように、ピックアップやブリッジ、フレットが傾いてデザインされている。
これはマルチ・スケールというネック・スケールを採用したモデルで、1弦から7弦までそれぞれスケールが異なっているのだ。
それに合わせて、フレットの位置も変わってくるので、その結果、一瞬摩訶不思議な写真に見えるギターとなっている。
なぜに、こういうスケールを採用しているのかというと、7弦ギターは、どうしても各弦のテンションの問題が発生しがちになってしまう。
7弦使いのギタリストならば、7弦目のテンションの柔らかさが気になり、スーパー・ロング・スケールのネックだったらと思ったりするはず。
また、それに伴い、各弦のピッチのズレが気になり、コードを弾いた時の微妙な和音のズレなどなど、これまでのギターでは解消できない問題を抱えていた。そういったテンションやピッチの問題を解決したのが、このマルチ・スケールなのだ。
▲ピックアップはEMG 808を2基搭載。各弦のスケールの違いに合わせて、フロントとリアでスラントの角度が変えられている。
▲ブリッジも各弦のスケールに合わせて、斜めに搭載されている。
さて、サウンドだが、グラファイトで強化したスルーネックを採用していることと相まって、かなり図太いトーンを出してくれる。
7弦をローBにして弾いてみると、超ヘヴィな低音を出す。
それでいて音が低すぎるために濁るようなことがなく、しっかりと音程を確認できるブライトなトーンも特徴。
これはEMGピックアップがいい影響を及ぼしているのか、はたまたマルチ・スケールの恩恵なのか、7弦目を使った低い音程のリフを弾いても1音1音が明瞭に確認できるサウンドを出してくれた。
気になるフレットだが、まずローのAコードを弾いてみる。
2フレットを人差し指でバレーして押弦してみると、なんとも不思議。
ふつうの感覚で押さえると、人差し指に対してフレットがすごい角度になっている。
だが、鳴っている音に違和感はないし、普通に弾ける。指を見ると不思議なのだが、感覚的に問題はない。
5〜12フレットあたりは通常のギターのように平行な感じなので、違和感はない。
ハイ・ポジションも速弾きなどすると、この斜めのフレットが指の角度にフィットして、逆に弾きやすいではないか!
と思いきや、ゆっくりと弾いた時に問題が!?
指板上にポジション・マークがなく、7弦側のネック横にあるポジション・マークを頼りに弾くのだが、それを頼りに1弦17フレットを押さえると、なぜか18フレットを押さえている。
速弾きするy時はポジション・マークを頼らずに感覚で指を動かしているから気にならなかったが、ゆっくりとグリスして1弦17フレットを目指すと18フレットを押さえてしまった。
ただ、これも慣れだろう。
もともと7弦に慣れていないと、まず7弦への慣れが必要なのだが、そのあたりも含めて、少し弾いていれば問題は解消してくれる。
▲7弦のため幅はあるが、薄く仕上げられていて弾きにくさは感じられない。
▲ポジション・マークはネック横に入れられている。通常のギターの感覚でポジション・マークを見て1弦を押弦すると、ずれることがあるかも!?
弾く際の慣れは必要だが、スルーネックと7弦に耐えうる太いネック(グリップが薄いので弾きにくさはない)による中低域のふくよかなトーン。
そして7弦ギターでは、なかば諦めていたピッチとテンションの問題。
それを差し引き、慣れればこれは7弦ギタリストにとって、とてつもなく心強いモデルになるはずだ。
▲ペグからブリッジまで各弦が直線になるようになっている。フレットもナットと同じく斜めにセット。
▲スルーネック・ジョイント。ヒール部はなめらかにカットされている。
▲弦は裏通し。マルチ・スケールと相まって、テンションを稼いでいる。
ジャクソン
Soloist Archtop SLAT7 MS
¥165,000+税
問:株式会社神田商会