石垣 愛が惚れ込む、SPIの真空管搭載ペダル
ジェイル大橋が愛用する歪み系やスイッチャー、IKUOのシグネイチャー・ブースターなどで、本誌読者にもおなじみのSoul Power Instruments (SPI)。このSPIから、真空管のNUTUBEを搭載した歪み系が2機種登場した。以前から、SPIのペダルを愛用する石垣 愛が、この新製品に注目。SPIの齋藤氏とともに、SPIの魅力やこの新製品について語ってくれた!
※WeROCK 068の掲載記事より。
——石垣さんがSPIのペダルを使うようになったキッカケから教えてください。
石垣:SPIは、音が好きな感じで気にはなってて。あと、でかいシステムじゃなく、それこそエフェクター・ボード1つだけで、どこでもできるという方向に自分自身が向かっていて、それに応えられるのがSPIのペダルなんだろうなと思っていたんですよ。それで知り合いが大橋(隆志)さんのローディをやっているということで、間に入ってもらったのが最初。もう、3年か4年前のことですね。いろいろ使わせてもらってきたし、モディファイもしてもらったり、オリジナルのA/Bボックスを作ってもらったりして。
——そんな中でもとくに気に入ったモデルはどれでした?
石垣:VIPERの最初のモデルですね。クランチ感というかヌケ感が好きでしたね。
齋藤:新しいVIPERは、そのモデルにNUTUBEという真空管を追加したモデルなんです。
石垣:そうそう、新しいVIPERができたのを知って、使いたいなあ……というのを何となくニュアンスで伝えて(笑)。
——SPIのペダルの特徴はどこにあると思いますか?
石垣:誤解を招くかもしれないけど、一言で言うと下品なところなんです(笑)。いいパーツを使って丁寧に配線すればいいエフェクターになるのは当たり前で。それよりも自分もベテランと呼ばれるようになった時、そうしたところよりも作る人の人柄にひっかかってくるんです。ペダルには、齋藤さんの人柄のよさが出ている。あと、世の中にはハイファイでいいエフェクターもあるけど、そうなると自分の中では楽器ではなくてオーディオになっちゃうんですよ。僕はソロイスト・タイプのギタリストではないし、目立つところは目立ちたいけど、あまりギターとして出しゃばってメリハリがなくなるのは好きではなくて。そうなるとハイファイなペダルでなくてもいいかなと。
齋藤:個人ブランド、ブティック系のエフェクターはハイファイに寄ることが多いと思いますし、楽器屋で試奏すると気持ちいいんですよね。でも、バンドのアンサンブルで鳴らした時に、ヴォーカルとぶつかったりするんです。だから、SPIでもハイファイになりすぎないところを意識してますね。
石垣:70年代には、そんなにハイファイな機材がなかったのに、いい音、いいロック・サウンドがあったじゃないですか。だから、大掛かりなシステムを組まなくても、気に入ったエフェクターを5個ぐらい並べて、あとは弾いているギタリストのパッションだなと思っているんです。あとはヘンな話ですけど、何を使っても自分の好きな音に寄せるし、そういう寄せる労力はあまりないほうがいい。それに応えてくれるのがSPIのエフェクターなんですよ。今、SPI以外のエフェクターもボードに入っているんですけど、それを全部SPIで作ってほしい(笑)。とくに、いろんなことができるディレイが欲しい。ディレイは多用するので……あ、タップできるアナログ・ディレイが欲しい(笑)。
齋藤:できなくはないですけど。
石垣:ワウ・ペダルは作れないんですか? カチって踏み込まなくていいタイプで、レンジも調整できるもの。あと、ワイヤレスもSPIで作ってほしい。
齋藤:ワウは大丈夫ですけど、ワイヤレスもですか〜(笑)。
——いろいろリクエストが出ましたが(笑)、石垣さんから見て、SPIは、どういうギタリストにオススメですか?
石垣:ざっくりですけど、70年代とか82年、83年ぐらいまでの音やスタイルが好きな人にオススメですね。そこから後は、ギター・サウンドが変わったと思うし、それ以前のスタイルが好きならオススメです。今はいろんなシミュレーターがあってどれも優秀だし、音作りもラクなんですけど、そうじゃないところってあるじゃないですか。踏み替えることもひとつの美だし、そこも含めてのギターだと思っているので。
◎いしがき あい/ザ・マッド・カプセル・マーケッツのギタリストとしてメジャー・デビュー。脱退後、デーモン閣下や布袋寅泰、他、多方面で活躍しつつ、Derailersでも活動を展開している。
VIPER ¥オープン(実勢価格¥37,000+税前後、島村楽器のみでの販売)
〈仕様〉 ●コントロール:ゲイン、レベル、ハイ、ロー、サウンド・キャラクター切り替えスイッチ ●入出力端子:インプット、アウトプット
石垣:すごく自然なオーバードライブ。ギターの音的には必要とされる中域の鼻がつまった音が嫌いな自分にとって、このミッドの帯域はとても心地いい。日頃はカッティング曲のクランチ・サウンドで使っているけど、歪ませたらかなりドライヴする。ライヴ・ハウスやスタジオのセッション現場ではだいたいローランドのJC-120だけど、トランジスタ・アンプでも真空管のパワーで響いてくれる。自分には欠かせないものになった。
齋藤:NUTUBEを内蔵した、リッチでなめらかなオーバードライブです。ゲインは控えめで、真空管ならではのナチュラルなサウンドで、ギターのヴォリュームに対して素直に反応します。ギター本来、アンプ本来のサウンドを引き出します。
PRIEST ¥32,600+税
〈仕様〉 ●コントロール:ゲイン、レベル、ハイ、ロー、サウンド・キャラクター切り替えスイッチ ●入出力端子:インプット、アウトプット
石垣:PRIESTはディストーションぽいオーバードライブになるのかな。レンジがダイナミックで、ギター側のヴォリュームとトーンでいろいろな表情を付けられるペダル。うまくコントロールできるなら、これだけでも充分。VIPERと同じようにローランドのJC-120で鳴らしても、ものすごいレンジ感で迫力が感じられた。ヘヴィなサウンドを使う現場で使用する機会が増えるだろうな。
齋藤:NUTUBEを使用したオーバードライブ。VIPERに比べてハイ・ゲインで、ジャキッとしたエッジのハード・ロック寄りのサウンドです。ゲインを下げてトーンを絞ることでジャジーなサウンドも作れるなど、幅広い音作りが可能です。
リバーブも発売中!
リバーブのAfterglowも紹介したい。
齋藤氏によると“アンプ用の電子リバーブ・ユニットを搭載し、とても深みのある残響音を作れます。残響音にのみかかるEQがついていて、トレブルを上げればプレートのような、ローを上げればホールのようなリバーブになります”
とのこと。価格は¥25,000+税。こちらも石垣愛に試してもらった。
石垣:初めて弾いた瞬間に、“これ使う!”と決めた。とてもナチュラルに広がってくれるし、その揺れも独特な感じ。スプリング系の使い方もおもしろい。
問:Soul Power Insruments
http://spi-soulpower.com/