DODの歪み系ペダル4機種を踏み比べ!
DODのコンパクト・エフェクター・シリーズに、新たに加わったCarcosa Fuzz(コーカーザ・ファズ)。この新製品を含め、現在発売されている計4機種のDODの歪み系をレポートしよう!!
試奏:谷川史郎(Carcosa Fuzz)、編集部(Looking Glass Overdrive、Boneshaker、Gunslinger)
70年代のファズからモダンなファズまでを凝縮した最新ペダル
DOD Carcosa Fuzz ¥18,000+税
〈仕様〉 ●コントロール:ビフォア、アウトプット、アフター、ハイ・カット、デミ/ハリ切り替えスイッチ ●入出力端子:インプット、アウトプット ●外形寸法:73(幅)×53(高さ)×117(奥行き)mm ●重量:281g(9vバッテリーを含まず)
歪みのキャラクター・グラフ
3大ポイント
◎どのポジションでも使えるファズ・サウンド
◎多彩なコントロールで自在な音作りが可能
◎現代にマッチしたファズ・サウンドもOK
第一印象としては、ヴィンテージ・ファズだけにポイントを置いたというより、今っぽいトーンも出せて幅があるペダルだということ。ディストーション寄りのファズ・サウンドも作れるし、ヴィンテージ・ファズ独自のクセというよりも、中高域の存在感があるし、今のギターや歪むアンプにフィットすることを考えて開発されているという感じだ。
各コントロールに注目していこう。
ビフォアはファズの深さをコントロールするツマミで、フルに上げても使えるトーンに仕上げられている。アフターはキャラクターを調整するもので、右に回していくと、ツヤっぽいトーンから激しさや太さが加わっていった。アウトプットは音量で、ハイ・カットはいわゆるトーン・コントロール。このハイ・カットで高域を抑えて、甘みのあるファズを作ることも可能だ。そして、注目したいのが中央のミニ・トグル・スイッチだ。これは、トーンのモードを選べるもの。例えば、デミ側にしてハイ・カットをセンターにセットし、アンプをクランチ・セッティングにするとディストーションっぽいトーンが出せた。逆にハリ側にしてハイ・カットを上げるとファズらしい潰れた歪みが出せるなど、いろいろな色づけが可能だ。このミニ・トグル・スイッチとアフターのツマミのセッティングで、荒々しいファズ・サウンドという大きな枠の中でも、多彩なトーンを作りだせた。アンプをクリーンにして使えば、一般的にイメージするファズらしいサウンドが得られるし、アンプを歪ませて使うとディストーションっぽさも感じさせてくれる。かなり自由度の高いファズと言えるだろう。
▲中低域を強調したい音には上側のDEMHE(デミ)、低域を抑えた音には下側のHALI(ハリ)がオススメ
▲ファズの太さや激しさをコントロールするアフター・ツマミ。キャラクターをかなり変えられる
ファズの名曲に迫る〜音作り例
「Foxy Lady」●ジミ・ヘンドリクス
◎ピックアップはシングルコイル、アンプはクリーン・セッティングでの音作り。ファズらしい、野性的なウネリも感じさせる。
「(I Can’t Get No)Satisfaction」●ザ・ローリング・ストーンズ
◎ピックアップはハムバッキング、アンプはクリーン・セッティングでの音作り。いい意味でなめらかではない、粒の粗いファズ・サウンドだ。
「Cherub Rock」●スマッシング・パンプキンズ
◎ピックアップはハムバッキング、アンプはクランチで作ってみた。ディストーションらしさも感じさせる、近年のファズ・サウンドの一例。
DODの新定番! ど真ん中の王道オーバードライブ
DOD Looking Glass Overdrive ¥30,000+税
〈仕様〉 ●コントロール:レベル、ゲイン、ベース・カット/トレブル、インプット・フィルター、ハイ/ロー切り替えスイッチ ●入出力端子:インプット、アウトプット ●外形寸法:73(幅)×53(高さ)×117(奥行き)mm ●重量:267g(9vバッテリーを含まず)
歪みのキャラクター・グラフ
3大ポイント
◎ベース・カット&トレブルで好みの音色に
◎ローとハイの2モードを切り替え
◎アクティヴ、パッシヴ、それぞれに最適化
SHOEペダルの創設者であるクリストファー・ベンダーとのコラボレーションにより開発されたオーバードライブ。基本、ナチュラルなタイプなのだが、ベース・カット、トレブル、インプット・フィルターというミッド・コントロールが3バンドEQ的な役割をしてくれるため、かなりトーンの幅が広い印象だ。スイッチにより、歪みをいちだんアップさせることも可能だが、 クラスA-FET回路を採用しているだけあり、ギターやアンプ本来のトーンを損なうことなくゲイン・アップしてくれるので、ブースター的に使うのがオススメだ。
▲このツマミは2層式になっており、ベース・カットとトレブルのコントロールが可能
ロー・チューニング・ギタリスト必見のディストーション
DOD Boneshaker ¥30,000+税
〈仕様〉 ●コントロール:ディストーション、デプス、レベル、ロー、ミッド、ハイ ●入出力端子:インプット、アウトプット ●外形寸法:73(幅)×53(高さ)×117(奥行き)mm ●重量:281g(9vバッテリーを含まず)
歪みのキャラクター・グラフ
3大ポイント
◎3バンド・パラメトリックEQを搭載
◎7弦ギター、8弦ギターにも効果的
◎効きの深いディストーション
ロー、ミッド、ハイのツマミが2層になっており、さらに低周波数帯の量をコントロールできるデプス・ツマミにより、かなり細かく追い込んだトーンが作れるディストーションだ。歪みの量自体は、あまり過激な感じではなく、ディストーション・ツマミが3時ぐらいの位置から急激に歪むタイプとなっていた。なので、試しにアンプを歪ませてオーバードライブ的に使ってみると、細かくトーンの設定ができるので、どこかプリアンプ的な印象で音作りができるエフェクターだ。ローが濁らないので、ベースやロー・チューニングのギターで使うと、いい効果が得られそうだ!
▲すべて2層式となっている、ロー、ミッド、ハイのコントローラー。トーン・シフト的でスラッシーな音も作れた
細かなニュアンスも出せるディストーション
DOD Gunslinger ¥18,000+税
〈仕様〉 ●コントロール:レベル、ゲイン、ロー、ハイ ●入出力端子:インプット、アウトプット ●外形寸法:73(幅)×53(高さ)×117(奥行き)㎜ ●重量:265g(9vバッテリーを含まず)
歪みのキャラクター・グラフ
3大ポイント
◎ハイとローのコントロールが独立
◎MOSFETディストーション・サーキット採用
◎9v、または18vで使用可能
いい意味で、ひじょうにナチュラルで、どこか懐かしさも感じる古きよきディストーション・エフェクターという印象だ。80年代のハード・ロック的なディストーションから、マーシャルでいえばJCM2000あたりまでの歪みを作り出せる。ゲインの幅がかなり広く、王道の歪みからハイ・ゲインまで対応しつつ、ピッキングの強弱を殺さないで再現してくれるので、エフェクターで歪ませてるという感じがしないのもいい。さらに、ローとハイのEQも、めっちゃ幅が広い。思い切りローを強調したモダンな歪みや、アメリカンなトーンまで幅広く対応できるモデルといえる。
▲ローとハイという2個のみのEQだが、コントロール幅が広く、シンプルなので音作りがしやすい
問:株式会社神田商会
http://www.kandashokai.co.jp