CYNTIAが未来型ドラム・マシンを試奏!

デジテックから登場したSDRUM(スドラム)。一見したところ、何かのエフェクターに見えるが、“Strummable(=気楽にかき鳴らす) Drums”というモデル名に表わされているように、ギターやベースを弾くだけで簡単にドラム・パターンを入力できるというアイテムだ。その使用感や魅力などを、シンティアの弦楽器隊のYUIAZUにガイドしてもらおう。

 

デジテック SDRUM ¥34,500+税

〈仕様〉 ●コントロール:グルーヴ/キット、ハット/ライド、レベル、テンポ、キック・パッド、スネア・パッド ●バック・ライト付きボタン:テンポ、ヴァース、コーラス、ブリッジ、ソング、Alt(キット)、Alt(ハット/ライド)、ギター・オーディション ●入出力端子:インプット、FS3Xイン、アンプ・アウト、ミキサー・アウト(L/R) ●外形寸法:82(幅)×63(高さ)×134(奥行き)㎜ ●重量:約520g(パワー・サプライを除く) ●電源:9v外部パワー・サプライ(付属)

 

▲本体右側には、別売のフット・スイッチを接続できる入力端子を備えている

 

▲本体左側には、アンプ・アンプ、ミキサー・アウト(L/R)を装備

 

 すでに、デジテックからはギターの演奏に合わせて、自動的にベース・フレーズとドラム・フレーズを生成してくれるトリオ、そしてトリオ+というペダルが“バンド・クリエイター”として発売されているが、このSDRUMもそのバンド・クリエイター。トリオと異なるのは、ギタリストだけでなく、ベーシストにも向けた製品であるということ。SDRUMの最大の特徴であるのだが、ギターやベースを弾くことで基本リズムを入力し、自動的にリズム・パターンが作られるのだ。そして、シンプルに指でパッドを叩いても入力できる。練習や曲作りのアイディアに活用できるモデルなのだ。
まずは、どんな入力方法がピッタリなのかをチャート図にしてみた。参考程度に見てもらえるとうれしい。

 

Aタイプ〜ギターやベースを弾いて、リズム・パターンを作る

▲①まずは、ギター・オーディション・ボタンを長押しする

▲②ベースで入力する場合は4弦などで、ギターでは6弦などの低音弦を弾く

▲③弦を弾いていると、ハット/ライド・ノブの外周のLEDが1個ずつ消えていく

▲④そのまま同じ弦を弾き続け、LEDが消灯させていく。全部が消えるとOK

▲スネアはキック用に弾いた弦より高い音の弦を弾く。上記の③〜④と同様に、外周のLEDが消えるまで同じ弦を繰り返し弾く

▲⑥スネアが認識されると設定は終了し、LEARNが点滅する。あとは、フット・スイッチを教えてギター/ベースを弾けば大丈夫!

SDRUMのヒント①
入力時のテンポから変更可能!
入力したリズムのテンポは、あとから半分〜2倍の範囲で変えられる。だが、ドラムを入力する時、テンポが速すぎたり遅すぎたりすると、あとからいろいろとリズム・パターンを変えたい時に融通が効かなくなる。入力する時は、自分が求めているテンポで入力しよう。

SDRUMのヒント②
グルーヴを変えてみる
リズムを入力後、そのパターンを変更できる。例えば、リズム・フィールをストレートにするか、スウィング(シャッフル)にするか、そして4/4拍子にするか、3/4拍子にするか、さらにドラム・パターンの装飾量も変えられる。装飾量とはシンバルなどの量で、シンプル/インターメディエイト(ノーマル)/ビジーの3段階から選択可能。この機能を活用することで、“ドンタンドドタン”というシンプルなリズムを、いろいろ好みのパターンにすることができるのだ。

▲ノブを回すだけで、リズム・パターンを好みのタイプにアレンジしてくれる

SDRUMのヒント③
ドラム・セットの音色を変えてみる
本体左上のグルーヴ/キット・ノブで、ドラム・サウンドをロックな“POWER”をはじめ、ジャジーな“BRUSH”、ポップス系の“E-POP”などに変更できる。曲調に合わせたサウンドにすることで、練習にも力が入る?
AZU:打ち込んだリズムは後からパーカッションとかロックな音色とかいろいろ変えられたりするし、自分で曲作りする時の参考にもなると思います。

▲5タイプのジャンルにそれぞれ2種類のドラム・サウンドが内蔵されている

SDRUMのヒント④
ハイハットやライド、タムタムなどのパターンを選べる
本体右上のハット・ライド・ノブで、SDRUMに内蔵されているハイハットやライド、タムタムなどのニュアンスを変えたり、その刻み方を4分音符/8分音符/16分音符と切り替えたりできる。その組み合わせも豊富で、同じ8ビートでもこのニュアンスを切り替えることで、練習が楽しくなるだけでなく、曲作りのヒントにもなってくれそうだ。

 

▲ハイハットやライドなど、さまざまな組み合わせを内蔵している

SDRUMのヒント⑤
3パターンのリズムで1曲完成!
曲作りに役立つのがこの機能だろう。3つのパートに分けて、1曲分のリズム・パターンが作れるのだ。
AZU:パターンをAメロ/Bメロ/サビのような感じで1曲入力できるし、それが36曲も保存できるのもすごいですね。切り替えも慣れると簡単だろうし、おもしろいです。

▲1曲を3つのパートに分けてリズム・パターンを制作できる

 

Bタイプ〜手でパッドを叩いてもドラム・パターンを作ってくれる

▲キック・パッドとスネア・パッドを叩いて打ち込むという、シンプルな方法も大丈夫!

SDRUMのヒント⑥
ツー・バスっぽいフレーズは指で入力!
SDRUMは従来のドラム・マシンのように、パッドを叩いても入力できる。この入力方法でオススメしたいのが、ツー・バスの連打フレーズだ。ギターやベースでは打ち込むのが難しいが、手なら簡単!
AZU:ツー・バスっぽいドラム・パターンは、ゆっくりしたテンポで手で入力したほうがいいかもしれないです。再生する時にテンポを上げれば、それっぽくなりますよ。あと、キックとスネアをユニゾンっぽく入れたい時も手で入力したほうがいいですね。

 

Cタイプ〜ライヴなどでSDRUMを活用したい!

フット・スイッチでさらに表現が幅広く!
デジテックのフット・コントローラー、FS3X(¥7,500+税/別売)があれば、足下でハット/ライドのヴァリエーションを選択できたり、クラッシュ・シンバルを鳴らしたり、ソングのパートの選択、一時的なミュート、他、さまざまな操作が行なえる。ライヴでSDRUMを活用したいというギタリストやベーシストには、オススメの選択肢と言えるだろう。

JamManシリーズをつなげると?
ライヴでのSDRUMの活用法をもうひとつ紹介しておこう。SDRUMにデジテックのステレオ・ルーパー、JamMan Express XT(¥16,000+税)やJamMan Solo XT(¥30,000+税)などを接続して使うという方法だ。
これは、すでにSDRUMで作成済みのリズム・パターンを鳴らしながら、ルーパーでバッキング・パターンをレコーディング。そして、そのループ・フレーズの上でアドリブ・プレイが可能となるのだ。

▲JamMan Express XT

▲JamMan Solo XT

SDRUMのチェックを終えて
AZU:楽器でドラムを打ち込むというのは初めてで、コツもすぐにつかめたし、おもしろかったです。
YUI:指でも簡単にリズムを入れられるので、私のようなパソコンでの打ち込みが苦手という人にもいいよね。
AZU:ギタリストよりもベーシストにいいかもって思った。
YUI:慣れるのも、私よりAZUちゃんのほうが早かったしね(笑)。
AZU:ベースの練習って、クリックに合わせて16分休符のタイミングとかとったりするんですけど、SDRUMなら楽しくできそう。いろいろ作れるから、逆に難しいところもあるかもしれないけど、セッションとか得意になれそうだし。いろんなドラマーがいるみたいな感じ。テンポも簡単に変えられるから、いろんな練習ができる。
YUI:クリックで練習するより楽しいし、アドリブの練習にもよさそうだしね。あ、ライヴのベース・ソロで使うとおもしろいかも。弾いて入力するところから見せて、ベースを弾いているんだけど、鳴っているのはドラムっていう。誰もやってないでしょ(笑)?

問:株式会社神田商会
http://www.kandashokai.co.jp/

 

◎シンティア:ハードな楽曲からEDMを取り入れた楽曲まで多彩なサウンドを聴かせてくれるバンドで、最新作『Urban Night』(2016年12月)では、そうした彼女達の多彩な表情を味わわせてくれる。現在、ライヴ活動と並行して新作の準備中で、ファンクラブ・サイトではその新曲制作過程が公開されている。

アルバム
『Urban Night』
アイオライト
通常盤:CYNT-001
¥2,592(税込)