Miho(Zilqy)が試すベース専用プリアンプ

wre_mi_tobi0715

ナンバーガールやクリプト・シティで活躍中のベーシスト、中尾憲太郎との共同開発によって誕生した、アースクエイカーデバイセスのプリアンプ“Scrolls(スクロールス)”。
あらゆるジャンルに対応するというこのモデルをジルキーのMihoが試奏!
はたして、メタル・サウンドも奏でてくれるのか!?


Mihoによる試奏動画


EarthQuaker Devices
Scrolls
¥64,900(税込)

【仕様】
EQチャンネル
:レベル、ヴァリ、ヴァリアブル・フリークエンシー、ベース、ミドル、トレブル、ディープ・スイッチ、プロセス・スイッチ、ブライト・スイッチ ●ドライヴ・チャンネル:レベル、ブレンド、ドライヴ、バンドウィズ、トーン
●フットスイッチ:EQチャンネル・オン/オフ・スイッチ、ドライヴ・チャンネル・オン・オフ/スイッチ
●入出力端子:インプット、アウトプット、パラレル・アウト、ダイレクト・アウト、センド/リターン
●電源: 9 V(センター・マイナス)
●消費電流70mA
●外形寸法: 120.6(幅)×114.3(奥行き)×57.2(高さ)mm
●重量:526.17g

左部には、Direct Out(アナログ・キャビネット・シミュレーターを介した音をXLR端子から出力される)と、Ground Lift(XLR端子のアースを切断)スイッチを装備

右部に搭載されたEffects Loop(センド/リターン)。
DriveチャンネルとEQチャンネルの間にループが設置されている。

どんなベース・サウンドも再現可能!?

——最近は、足元のエフェクターもデジタルものが多いらしいですね?
Miho
:そうなんですよ。ジルキーはチューニングが多岐にわたっているので、ベースを持ち替えるよりエフェクターを使って変更するほうが楽ということもあって、ピッチ・シフターを内蔵しているデジタルのマルチ・エフェクターを使うことが多いです。
——とすると、こういったアナログのプリアンプだったり歪み系エフェクトを使うことも少ない?
Miho
:もう、ほとんど使わなくなりましたね。なので、今、音を出して、アナログのよさをめちゃめちゃ感じました。まず、ツマミの感触が楽しいです(笑)。
細かいポイントになりますが、EQとかセンターの位置でカチっとしてくれるのがめっちゃ好きです。これがあると、すぐにフラットな位置に戻せるじゃないですか。それに、各コントローラーの可変幅が大きいんですよ。とくに、Vari-Freq(ヴァリアブル・フリークエンシー) があるおかげで、かなりトーンの自由度が高いですね。それに、全部をフラットにしていても、EQチャンネルだけでもオンにするとサウンドに深みというかツヤだったり音圧が出てくれます。コンプ感ではないんだけど、オンにするとそういった弾きやすさだったりベースのいい部分をプラスしてくれる感じがします。
——ディープ、プロセス、ブライトという3つのスイッチはいかがでしょう?
Miho
:かなり効いてくれますね。ベース、ミドル、トレブルという3つのEQの効きがいいので、その3つのスイッチと組み合わせると音作りの幅は、かなり広いです。
たとえばベースのコントローラーを回していくと……(動かしながら弾く)、けっこうローが強く出ます。ふつうのアンプではここまで低域は出ないんじゃないかというぐらい変わりますよね。ディープ・スイッチを押さなくても、充分にローが出ますよね。ミドルを動かしていくと……ドンシャリにもなってくれるし、これだけ変化してくれるとバンド内で音を出した時に抜け感も作りやすそうです。
そこに、3つのスイッチがあるんですよ。ディープは、低域の太めのところだけを持ち上げてくれる感じです。フレット・ノイズとか高い成分の帯域ではなく、低い部分ですね。ギタリストとドラマーの音作りしだいですけど、これをオンにしたほうが抜けるという時もあるだろうし、2バスを連打するような曲だったらオフのほうがいいかもですし、状況しだいでオンとオフを切り替えてすぐにローの感じを変えられるのはうれしいです。
——プロセス・スイッチは?
Miho
:一発でモダンなトーンになります。これだけで作ろうとすると、少し引っ込んだ感じになるので、EQと組み合わせてどう調整していくかがポイントになりますね。ここをオンにしたうえで、ミドルのEQをどのぐらいプラスしていくのかと。単純にスイッチを押してブーストだったりカットするというイメージより、EQと組み合わせることを考えて音作りしていくほうがキレイに出てくれると思います。
——そして、ブライト・スイッチです。
Miho
:キレイに高音が持ち上がる感じがします。この3つを全部オンにすると、一瞬にしてメタルにピッタリのトーンが作れますね。私の中でメタル・サウンドに合うのはドンシャリではないんですけど、ひとりで弾いていて楽しいトーンなんですよね。モダンなトーンですね。ブライト・スイッチをオンにすると、すごくモダンな音になるし指弾きのピッキング音が前に出てくるんです。アイアン・メイデンを弾くならオンにしたいところですが(笑)、この帯域はギタリストとの相性にもよりますね。好きな音なんですけど、トレブルを出しすぎになることもあるので、バンド・アンサンブルを考えてオンとオフを使い分けますかね。

▲EQチャンネルにある3つのスイッチ。このスイッチを押すだけで、瞬時にドンシャリ・サウンドが作れる

——ヴァリアブル・フリークエンシーに関しては、どう思いましたか?
Miho
:パラメトリック・イコライザーに近いと思うんですけど、グラフィック・イコライザーみたいに使えるんですよ。このコンパクトな筐体の中で、いろんな帯域がイジれるのがすごいです。
私、自分が気持ちいいだけの音で弾くというのは考えたことないんですね。もちろん理想のベース・サウンドというのはあるけど、それよりもバンドの中での混じりを考えるんです。他のパートとの兼ね合いの中で、どういう音にすればベースが抜けてくれるのかとなった時、EQと3つのスイッチで調整しつつ、さらにこのヴァリアブル・フリークエンシーで微調整する。私が、ドラムとギターをつなげたいというスタンスのベーシストでありたいというのもあるんですけど、すごく便利なプリアンプだなと思います。バンドによっても曲調によっても、いろんな音が作れるのはありがたいし、これならレコーディングでも使えますね。ジルキーはけっこう特殊だけど、セッションとかに持っていけたら音作りはかなり楽になると思いますよ。
——Mihoさんが、スクロールスで音作りするなら、どういう順番でやりますか?
Miho
:まずは、3つのEQで作りますかね。基本は、トレブルを少し上げ、ベースをやや削って、ミドルで調整する感じからスタートします。もちろんプレイする曲にもよるし、ジルキーの場合、チューニングが低すぎるのでなんとも言えないですが(笑)。スクロールスは低域がよく出てくれるので、ベースのEQをどうするかがポイントになりそうです。(音作りしながら)おもしろいですね、奥が深くていろいろ試したくなります。いろんなトーンが作れすぎますね。スイッチとの組み合わせで、ずいぶん変わります。スイッチの効きがすごいです。

▲3バンドEQ以外に、トーン作りに大活躍してくれるのがヴァリアブル・フリークエンシー。
幅広い帯域を調整できる

——続いて、ドライヴ・チャンネルにいってみましょう。
Miho
:オーバードライブというよりもディストーションに近い歪みと感じました。なので、ドライヴをフルにすると飛び道具的なトーンも作れますね。すごいエフェクティヴな音にもなります。ベース・ソロが楽しいです。そういう使い方もできるし、ブレンド・コントロールを調整すれば、つねにオンにしてドライヴ感をプラスすることもできます。ドライヴとブレンドを上げれば、ジルキーではやらないだろうけどタッピングとかしてもうまく聴こえます(笑)。
コンプ感も加わって弾きやすくなってくれる。歪ませすぎると抜けなくなると思われがちなんですが、タッピングとかでは歪ませたほうが抜けるというか、ちょっとしたタッチでも音を拾ってくれるのでオンにしたいですね。
——バンドウィズというコントローラーが歪みの帯域を調整するらしいのですが、どういう印象ですか?
Miho
:たしかに変わりますね。デジタル系のエフェクターだとこれと似た感じのツマミが付いてたりしますが、アナログでこれができるのはいいですね〜。デジタルの場合、けっこう使ってるコントロールなんですよ。右に回せばギラっとして、左に回すと少しコモる歪みが得られます。“トーンより効くトーン”みたいなニュアンスもあります。自分の中で、どこを歪ませたいかを選べるコントローラーですね。このチャンネル、わりとフラットなセッティングにしてオンにするだけでも、いい感じで弾きやすさとドライヴ感が加わってくれるんです。

▲歪む帯域をコントロールするバンドウィズ・ツマミ。歪みの質感を変化させてくれる

 

Scrollsで作るMihoサウンド

①存在感があるベースならではの音

Miho:EQチャンネルだけなんですけど、歪み感というかドライヴ感もあり、いい音です。いろんなジャンルはもちろんですが、これでヘヴィ・メタルもいけます。まあ、王道なメタル・ベースの音ですかね

EQチャンネルだけオン。ブライト・スイッチをオン。ロックからメタルまでいけるトーンだ

②ベース・ソロで使える歪みサウンド

Miho:ベース・ソロや飛び道具的に使えるディストーション・サウンドです。ブレンドで原音を多めにすれば(反時計回り寄り)、かけっぱなしでも使える音じゃないですかね。歪んだベース・サウンドです。

 

ブライト・スイッチはオン。EQチャンネルとドライヴ・チャンネルは両方ともオンでのセッティング

③ジルキーで使うならこのセッティング!

Miho:今回、レギュラー・チューニングで試奏していたので、ちょっとジルキーのベース・サウンドになるか難しかったんですけど(笑)、けっこうドンシャリ気味で音圧強めのサウンド。ブレンドは薄めで、やや歪みですね。

▲プロセス・スイッチのみオン。EQ&ドライヴ・チャンネルはオンにして、ジルキーでのベース・サウンドを作ってみた

総評!
〜ベース1本で多彩な音色が作れるのが便利です

Miho:とにかく音色の幅も広いし効きがいいので、めっちゃ好きなエフェクターだし、プリアンプだと思いました。
プリアンプの中には繊細で効きが弱めなタイプもあるじゃないですか。でも、スクロールスは、少し変えただけでもガッツリと変化してくれるので便利なのかなと思います。それこそ1本のベースで多彩な音色が出せるので、いろんな現場で使えますよね。アンプで音を変えるよりもスクロールスで変えたほうが早いし、とてもいいです。
けっきょくベースは、ライヴだとアンプより前のDIを通して音がPAに行くじゃないですか。ベーシストによってはそれが弾きにくかったりするので、マイクで拾った音を混ぜて返してもらったりするんですけど、スクロールスを使えばここからPAにいく音を返してもらえるので弾きやすくもなりますよね。
ちなみに、今回、ダイレクト・アウトの音で試奏をしていて、それはキャビネット・シミュレーターを通った音なんですよね。キャビシミュを通らない音も試してみたんですけど、キャビシミュを通ったアウトのほうがドライヴ・チャンネルの音の変化幅が大きく感じました。なので、キャビシミュを通らない音を使う場合は、ドライヴやブレンドを上げ目にしたほうがかかりは強くなりますね。


メイカーズ・ヴォイス(ヤマハミュージックジャパン)
〜ベース本来のよさを活かしながら補正できます

——スクロールスの、他のプリアンプとは違う特徴、個性はどこになりますか?
YMJ(ヤマハミュージックジャパン)
:ジャンルを問わず、かなり幅広い音作りができること、そしてDIアウトのクオリティやEQの微調整能力などかゆいところに手が届く部分です。EQのノブを12時に設定するとフラットの状態で原音と同じサウンドになるので、ベース本来のよさを活かしながら補正できるセッティングを目指せるようになっています。音作りに迷ったらゼロからまたノブを12時に合わせて再スタートできます。
——Vari-Freqコントロールとは、どんなコントローラーで、どのような使用がオススメでしょうか。
YMJ
:たとえば、ピッキング時に生じるカチカチした高音部分の周波数を探してカット。また、ドンシャリ設定時に、少しハイ・ミッドがほしい時に足してあげるなど、20Hzから10kHzという広い帯域からピンポイントで周波数をカット/ブーストできるため、よりバンドにフィットしたサウンドが作れます。また、スラップ時に、弦がフレットに当たる音をブーストしてあげればKornみたいなサウンドも作れます。このような微調整ができると、PA側であまり補正することなくライヴを行うことができ、究極はPA側でフェーダーを上げるだけで音作りが可能となります。
——バンドウィズについて、その特徴、使用法を教えてください。
YMJ
:時計回りに上げると高域部分が歪んでくるため、よりゴリゴリのロック・サウンドになります。逆に回すと低域が歪むため、太いドライヴ・サウンドになります。 この機能だけで、かなり印象の違うサウンドを生み出します。 バンドウィズのノブを上げて高域を歪ませながら、トーンを使ってトガった部分を抑えてあげるなど、ドライヴ・セクションだけでもそのプレイヤーに合った音作りができるようなスペックになっています。
——キャビネット・シミュレーターを内蔵しておりますが、どのようなキャビをシミュレートしていますか?
YMJ
:アースクエイカーデバイセスのEasy ListeningやZEQD-Preampでも使用しているアナログ・シミュレーターです。 元となっているアンプはフェンダー ‘65 Deluxe Reverbです。もちろんベースでも使え、ミキサー卓に完成されたサウンドを送ることができます。
——このモデルは中尾憲太郎さんとの共同開発となっておりますが、メタル系のベーシストにオススメの部分はどこになりますでしょうか。
YMJ
:EQ側にプッシュ・スイッチが付いており、3つすべて押すと簡単にドンシャリ・サウンドが作れます。ディープ・スイッチのみ押して3バンドEQで補正してあげるのもいいですし、さらにドライヴ・チャンネルではバンドウィズを高めに設定することでよりメタルらしいサウンドになります。EQのスイッチは“ドンシャリ・スイッチ”と呼んでいるくらい、そのサウンドが好きなプレイヤー向きです。サンズのようなサウンド、と言えばわかりやすいかもしれません。
——プリアンプと捉えるべきですか? あるいは歪み系のエフェクターとして使用するべきでしょうか?
YMJ
:EQの要素が高いため全体でみるとプリアンプ・ペダルです。3バンドEQのうち、とくにベースはベーシストにとって気持ちいい部分がブーストされます。そういう意味でもプリアンプとして捉えていただきたいです。ただ、搭載している歪みはアンプ・ドライヴのような自然な歪みなのでドライヴ単体で使用してもいいし、いい意味でクセがないサウンドなので他の歪みとの相性も抜群です。
——このモデルに限らず、アースクエイカーデバイセスがこだわっている点はどこになりますか?
YMJ
:自分の耳を使って直感的に音作りができる部分です。他社と比べて可変幅が広く、各ノブの効きも強いので、自分の耳が納得するサウンドを探し出すことができます。個性的なサウンドを求めている方にはハマるのではないでしょうか?
もう1点は、音抜けです。 全ラインナップを見ると、サウンド・キャラクターは少し硬めになっており、バンド・アンサンブルの中で音が抜けてくれるチューニングがされています。アースクエイカーデバイセスでは、開発の段階で必ずさまざまなバンドの中でテストします。やはり実戦で使えないと、エフェクターとしての意味がないですから。もちろん単体で弾いてもカッコいいサウンドですが、バンドで使った時に初めてそのよさを体感できるのがアースクエイカーデバイセスです。

■Scrollsの詳細■
https://www.earthquakerdevices.jp/scrolls


Miho(ミホ)LOVEBITES脱退後、昨年、Zilqy(ジルキー)を結成したベーシスト。2025年11月5日にファーストEP「Vacant Throne」をリリースし、7月からは3曲連続で配信シングルをリリース。そして、10月7日に待望のファースト・アルバム『Birth of Riot』を発表! ツアー日程は以下の通りだ。
10月11日(日)=柏パルーザ
10月12日(月・祝)=仙台マカナ
10月24日(土)=神戸ヴァリット
10月25日(日)=名古屋ell. FITS ALL
11月14日(土)=福岡インザ
11月28日(土)=心斎橋ミューズ
12月16日(水)=Zepp Shunjuku
12月21日(月)=恵比寿リキッドルーム(イヴェント)

■ジルキー 公式サイト
https://www.zilqy.com/